情報処理技術者能力認定試験

情報処理技術者能力認定試験は、コンピュータシステム、データベース、ネットワーク、セキュリティ、システム開発、アルゴリズム、プログラミングなど、ITエンジニアに必要な基礎力を段階的に評価する民間資格です。サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催し、1983年から続く長い実績があります。

試験は1級・2級・3級の3段階です。3級はIT基礎知識を中心に評価し、2級・1級では第1部の知識試験に加え、第2部でアルゴリズムとプログラミング、情報セキュリティが問われます。2023年6月から第2部は特定プログラミング言語を選択する旧方式ではなく、擬似言語による出題へ変更されています。

情報処理技術者能力認定試験を30秒で確認

  • サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催する民間資格
  • 1級・2級・3級の3段階
  • 1・2級は第1部90分+第2部90分
  • 3級は75分・50問
  • 第1部は基本情報技術者試験の科目A試験に相当する知識分野
  • 第2部は擬似言語のアルゴリズム・プログラミング14問+情報セキュリティ4問
  • 1・2級は第1部・第2部それぞれ60%以上、3級は60%以上で合格
  • 受験料は1級7,200円、2級6,500円、3級5,700円(税込)
  • 2級は第1部・第2部を別々に受験可能
  • 2025年度平均合格率62.6%、累計受験者529,442人
  • 2級または2級第1部は、所定条件下で基本情報技術者試験の科目A免除制度に活用可能
資格名 情報処理技術者能力認定試験
英語名称 Information Processing Skills Qualification Test
資格種別 民間資格
主催・認定 サーティファイ情報処理能力認定委員会
試験開始 1983年
級 1級・2級・3級
受験資格 学歴・年齢等の制限なし
2025年度平均合格率 62.6%
累計受験者数 529,442人(2026年3月31日時点)

情報処理技術者能力認定試験とは

この試験は、コンピュータエンジニアリングとシステム開発の知識を持ち、アルゴリズムを構築し、プログラミングできる情報処理技術者を認定することを目的としています。

特定言語だけを評価するC言語・Javaなどの資格とは異なり、情報処理全般を広く扱う点が特徴です。

「プログラミングだけ」ではなくITエンジニア基礎全般

ハードウェア、OS、データベース、ネットワーク、セキュリティ、開発手法、アルゴリズムなどをまとめて学びたい人に向いています。

1級・2級・3級の違い

級 公式の認定基準 位置づけ
3級 コンピュータの基礎知識を有する IT基礎
2級 初級程度の情報処理技術を有する ITエンジニア入門〜初級

試験概要

級 第1部 第2部 受験料
1級 90分・50問 90分・18問 7,200円
2級 90分・50問 90分・18問 6,500円
3級 75分・50問 なし 5,700円

2級は第1部のみ・第2部のみで個別受験できます。個別受験の場合は各3,500円(税込)です。

合格基準

級 合格基準
1級 第1部60%以上、かつ第2部60%以上
2級 第1部60%以上、かつ第2部60%以上
3級 得点率60%以上

1・2級は合計点ではなく両方60%以上が必要

第1部が高得点でも、第2部が60%未満なら1級・2級としては合格になりません。両分野をバランスよく対策する必要があります。

第1部の内容

第1部は1級・2級・3級とも50問で、情報処理技術者として必要な知識を問います。公式では、経済産業省の基本情報技術者試験「科目A試験に相当」と位置づけています。

分野 主な内容
コンピュータシステム ハードウェア、ソフトウェア、OS、システム構成
データベース DBMS、データモデル、正規化、SQL
ネットワーク 通信、プロトコル、LAN、インターネット
情報セキュリティ 脅威、認証、暗号、アクセス制御
システム開発 要件定義、設計、テスト、保守
アルゴリズム データ構造、探索、整列
マネジメント プロジェクト、サービス管理
ストラテジ 企業活動、法務、経営戦略等

第2部の内容

1級・2級の第2部は18問で、2023年6月以降は全問必須です。

問1〜14 アルゴリズムとプログラミング(擬似言語)
問15〜18 情報セキュリティ
時間 90分
問題数 18問・全問必須

現在はC・Java・COBOL等の選択試験ではない

過去の教材では言語選択方式が掲載されている場合がありますが、現行第2部は擬似言語で統一されています。

2023年6月の大きな変更

基本情報技術者試験のCBT化・科目構成変更に合わせ、情報処理技術者能力認定試験も見直されました。

項目 旧方式 2023年6月以降
プログラミング 特定言語を含む旧出題 擬似言語
第2部 旧形式 18問・全問必須
アルゴリズム 出題 問1〜14で中心的に出題
セキュリティ 出題 問15〜18

古いC言語・Java・COBOL選択対策本に注意

現在の2級・1級第2部対策では、特定言語の細かい文法より、擬似言語でアルゴリズムを正確に追う力が重要です。

擬似言語とは

擬似言語は、特定のプログラミング言語に依存せず、アルゴリズムを表現するための記法です。

変数、配列、条件分岐、繰返し、関数、論理演算などの基本構造を使い、処理内容を読み取ります。

概念 確認ポイント
代入 変数の値がどう変化するか
条件分岐 どの条件でどの処理へ進むか
繰返し 初期値・終了条件・更新
配列 添字と要素の対応
関数 引数・戻り値
再帰 呼出しがどのように戻るか

アルゴリズムで重要なテーマ

テーマ 主な内容
線形探索 先頭から順番に検索
二分探索 整列済みデータを半分ずつ絞り込み
整列 バブル・選択・挿入等の考え方
スタック LIFO
キュー FIFO
木構造 階層的データ構造
再帰 自分自身を呼び出す処理

データベース

第1部ではデータベースも重要です。

テーマ 学ぶ内容
関係データベース 表、行、列、キー
正規化 データ重複・更新矛盾を防ぐ
SQL SELECT、INSERT、UPDATE、DELETE
トランザクション ACID特性
排他制御 同時更新の整合性

ネットワーク

テーマ 主な内容
TCP/IP インターネット通信の基本
IPアドレス ネットワーク上の識別
DNS 名前解決
HTTP/HTTPS Web通信
ルータ ネットワーク間の中継
LAN ローカルネットワーク

情報セキュリティ

第1部だけでなく、第2部にも4問の情報セキュリティが含まれます。

分野 ポイント
暗号 共通鍵、公開鍵、ハッシュ
認証 パスワード、多要素認証
マルウェア ウイルス、ランサムウェア等
攻撃 SQLインジェクション、XSS等
アクセス制御 権限管理
組織対策 ポリシー、教育、インシデント対応

システム開発

ITエンジニアとして、プログラムだけでなく開発工程を理解することも重要です。

工程 主な内容
要件定義 必要な機能・条件を整理
設計 システム構成・処理を設計
実装 プログラミング
テスト 単体・結合・システム等
運用 本番環境で利用
保守 障害対応・機能追加

2級の科目合格制度

2級には大きな特徴があります。第1部と第2部を別々に受験でき、それぞれ科目合格として扱われます。

2級一括 第1部+第2部を受験
2級第1部 第1部だけ受験
2級第2部 第2部だけ受験
科目合格の有効期限 なし
両科目合格後 申請により2級認定可能
認定費用 無料

一度に180分受ける必要はない

第1部と第2部を別日で取得できるため、知識試験とアルゴリズム試験を分けて対策することも可能です。

基本情報技術者試験の科目A免除制度との関係

情報処理技術者能力認定試験の大きな特徴が、基本情報技術者試験(FE)の科目A試験免除制度に活用できる点です。

ただし、2級や2級第1部へ合格しただけで自動的に科目Aが免除されるわけではありません。IPA認定の免除対象科目履修講座を修了し、所定の「修了認定に係る試験」に合格するなど、制度上の条件を満たす必要があります。

ステップ 内容
1 情報処理技術者能力認定試験2級または2級第1部に合格
2 IPA認定の免除対象科目履修講座を履修
3 修了認定に係る試験に合格
4 基本情報技術者試験の科目A免除認定
5 FEでは科目B試験を中心に受験

個人が2級を取るだけでは科目A免除にならない

この制度は、IPAの認定を受けた講座を設置している教育機関等で活用する仕組みです。学校・講座が免除制度へ対応しているか確認してください。

2026年度の修了認定に係る試験

サーティファイが案内する2026年度の「修了認定に係る試験」は、2026年7月25日に実施され、60分・30問・60%以上で合格とされています。受験料は1,900円(税込)で、別途受験申込手続料2,240円(税込)が設定されています。

これは一般の公開試験とは異なり、科目A免除制度に対応した講座開設者向けの仕組みです。

公開試験の受験方法

個人向け公開試験は、リモートWebテストによる在宅・在社受験です。

方式 対象
リモートWebテスト 個人公開試験
マークシート 団体受験で選択可能
Webテスト 団体会場で選択可能
リモートWebテスト 団体受験でも利用可能

2026年度の公開試験日程

回 試験日 実施級
第73回 2026年6月7日 2級・3級
第74回 2026年9月6日 1〜3級
第75回 2027年1月17日 1〜3級

2026年10月時点で、次回は第75回の2027年1月17日です。受付予定期間は2026年11月3日から2027年1月10日です。

難易度・合格率

公式の2025年度平均合格率は62.6%、累計受験者数は529,442人(2026年3月31日時点)です。

項目 公式値
2025年度平均合格率 62.6%
累計受験者数 529,442人
集計時点 2026年3月31日

62.6%は試験全体の年度平均であり、1級・2級・3級それぞれの合格率ではありません。

級 当サイト難易度目安 理由
3級 標準 IT基礎50問を広く学ぶ
2級 やや高い 知識+擬似言語・セキュリティ
1級 高い より中級レベルの総合力が必要

勉強時間の目安

公式が合格に必要な標準学習時間を示しているわけではありません。以下は当サイトの目安です。

受験者タイプ 3級 2級 1級
IT完全初心者 60〜100時間 150〜250時間 250〜400時間
情報系学生 30〜60時間 80〜150時間 150〜250時間
ITパスポート合格者 20〜40時間 80〜140時間 150〜250時間
基本情報学習経験あり 10〜20時間 30〜80時間 80〜150時間

3級の勉強方法

3級はIT基礎知識の定着が中心です。まずはコンピュータ、OS、データベース、ネットワーク、セキュリティ、開発工程を一通り理解します。

3級は「用語を広く薄く」から始める

最初から細部を深掘りせず、各分野の基本用語と関係を理解してから問題演習へ進むと効率的です。

2級の勉強方法

2級では第1部対策と第2部対策を分けて進めると学びやすくなります。

学習 重点
第1部 基本情報科目A相当の知識
第2部 擬似言語・アルゴリズム
第2部 情報セキュリティ
仕上げ 90分で問題を処理する練習

擬似言語の勉強方法

1. 変数の値を表にする

処理を頭の中だけで追わず、ループ1回ごとの値を表へ書きます。

2. 配列の添字を確認する

何番目の要素を参照しているかを書き出します。

3. 条件式を日本語へ直す

複雑なAND・OR条件を一つずつ解釈します。

4. 探索・整列を図で追う

データがどの順番で比較・交換されるかを追います。

5. 再帰は呼出し履歴を書く

関数呼出しと戻りをスタックのように記録します。

3か月学習プラン:2級

期間 学習内容 目標
1〜2週 ハードウェア・OS 基礎用語を理解
3〜4週 DB・ネットワーク SQL・通信を整理
5〜6週 セキュリティ・開発 頻出分野を固める
7〜8週 擬似言語基礎 if・loop・配列を追う
9〜10週 探索・整列・データ構造 アルゴリズムを理解
11週 第1部模擬 90分で60%以上
12週 第2部模擬 90分で60%以上

不合格になりやすいパターン

失敗 原因 改善
第1部だけ得意 第2部が60%未満 擬似言語を別科目として対策
用語暗記だけ アルゴリズムを追えない 手を動かしてトレース
古い教材を使う 言語選択式の旧制度 2023年6月以降対応教材を使う
セキュリティ軽視 第2部にも4問ある 攻撃・暗号・認証を整理
時間配分なし 後半で時間切れ 90分形式で模擬演習

基本情報技術者試験との違い

項目 情報処理技術者能力認定 基本情報技術者
資格種別 民間資格 国家試験
主催 サーティファイ IPA
レベル 1〜3級 1試験
知識 第1部が科目A相当 科目A
アルゴリズム 第2部 科目B
科目A免除 2級等を活用できる制度あり 免除対象側

位置づけは「基本情報へのステップ資格」

基本情報技術者試験より前に3級・2級で段階的に知識を固める使い方がしやすく、学校教育でも活用しやすい資格です。

ITパスポートとの違い

項目 情報処理技術者能力認定 ITパスポート
資格 民間 国家試験
対象 IT技術者志望 社会人・学生全般
プログラミング 1・2級で擬似言語 中心ではない
技術分野 より深い 基礎中心

C言語・Java資格との違い

資格 中心
情報処理技術者能力認定 IT全般+アルゴリズム
C言語プログラミング能力認定 C言語
Javaプログラミング能力認定 Java

特定言語を深く学ぶならC・Java資格、ITエンジニアの総合基礎力を学ぶなら情報処理技術者能力認定試験が向いています。

取得するメリット

メリット 内容
IT基礎を体系化 幅広い技術領域を学べる
段階学習 3級→2級→1級と進める
FE対策 基本情報との親和性が高い
科目A免除制度 教育機関等で活用可能
デジタル証明 オープンバッジ・デジタル認定証明書

どんな人に向いている?

タイプ おすすめ度 理由
情報系学生 非常に高い 授業・基本情報対策と相性がよい
IT初心者 高い 3級から段階的に学べる
基本情報受験予定 非常に高い 出題分野の親和性が高い
特定言語だけ学びたい 目的次第 C・Java等の専門資格が直接的
非IT職の基礎資格目的 中 ITパスポートも候補

どの級から受けるべき?

現在のレベル おすすめ
ITを初めて学ぶ 3級
ITパスポート相当の基礎あり 2級
基本情報の勉強中 2級
基本情報合格レベル+応用力 1級

オープンバッジ・デジタル認定証明書

合格者にはオープンバッジとデジタル認定証明書が発行されます。受験者全員には試験結果のお知らせがデータで発行されます。

2級の科目合格についても、条件に応じて科目合格証やデジタル認定証が発行されます。

よくある質問

情報処理技術者能力認定試験は国家資格ですか?

国家資格ではありません。サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催する民間資格です。

受験資格はありますか?

ありません。学歴・年齢等に関係なく受験できます。

1級は何時間ですか?

第1部90分、第2部90分の合計180分です。

2級は一度に両方受ける必要がありますか?

ありません。第1部・第2部を別々に受験し、後から両方の科目合格を2級認定へまとめることができます。

科目合格に有効期限はありますか?

2級の科目合格には有効期限が設けられていません。

現在もC言語やJavaを選択しますか?

いいえ。2023年6月以降の第2部は、擬似言語によるアルゴリズム・プログラミングと情報セキュリティです。

合格率はどれくらいですか?

2025年度平均合格率は62.6%です。これは全体平均であり、級別合格率ではありません。

基本情報技術者試験の科目Aは自動的に免除されますか?

いいえ。2級または2級第1部の取得に加え、IPA認定講座の履修と修了認定に係る試験への合格など、所定条件を満たす必要があります。

自宅で受験できますか?

個人向け公開試験はリモートWebテストによる在宅・在社受験です。

次の公開試験はいつですか?

2026年10月時点では、次回は2027年1月17日の第75回で、1〜3級が実施予定です。

情報処理技術者能力認定試験のまとめ

情報処理技術者能力認定試験は、ITエンジニアに必要なコンピュータ、ネットワーク、データベース、セキュリティ、システム開発、アルゴリズムを総合的に学べる民間資格です。1・2級は第1部90分・50問、第2部90分・18問で、それぞれ60%以上が必要です。3級は75分・50問で60%以上が合格基準です。2023年6月以降、第2部は擬似言語によるアルゴリズム・プログラミングと情報セキュリティへ統一されました。2級には科目合格制度があり、所定の講座・修了試験と組み合わせることで基本情報技術者試験の科目A免除制度へ活用できる点も大きな特徴です。

情報確認:2026年10月
主な確認先:サーティファイ「情報処理技術者能力認定試験 試験概要」「出題範囲」「2級科目合格制度」「2026年度公開試験案内」「基本情報技術者試験 科目A試験免除制度への対応」。

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