米国税理士(EA)

米国税理士(EA:Enrolled Agent)は、米国内国歳入庁(IRS)が付与する、米国連邦税務の専門資格です。弁護士(Attorney)や米国公認会計士(CPA)と同様に、原則として納税者をIRSに対して広く代理できる権限を持ちます。

EAは州単位の資格ではなく、IRSによる連邦資格です。米国連邦税務を専門にしたい人、米国個人・法人の申告やIRS対応、国際税務補助、米国関連の税務業務に携わりたい人に適しています。

2026年は制度変更が大きく、Special Enrollment Examination(SEE)の運営会社がPrometricからPSI Servicesへ変更されました。受験料は1科目317米ドルです。また、2026年10月4日時点では国際受験の開始が延期されており、日本からの受験スケジュールには注意が必要です。

米国税理士(EA)を30秒で確認

  • 資格名:Enrolled Agent(EA)
  • 認定:米国内国歳入庁(IRS)
  • 専門:米国連邦税務
  • 試験:Special Enrollment Examination(SEE)
  • 試験科目:Part 1 Individuals、Part 2 Businesses、Part 3 Representation, Practices and Procedures
  • 試験時間:各Part 3.5時間
  • 問題数:各Part 100問
  • 2026年受験料:1Part 317米ドル
  • 合格済み科目の有効期間:原則3年
  • 試験合格後:Form 23で登録申請、140米ドル、適格性審査あり
  • 更新:原則3年ごと
  • 継続教育:3年間で72時間、毎年最低16時間・うち倫理2時間
  • 2026年重要変更:試験運営がPrometricからPSIへ変更
  • 2026年10月時点:国際受験は開始延期中
資格名 Enrolled Agent(EA)
日本での呼称 米国税理士、IRS登録代理人
認定機関 Internal Revenue Service(IRS)
資格の中心 米国連邦税務・IRSに対する納税者代理
試験 Special Enrollment Examination(SEE)3 Parts
受験料 317米ドル/Part(2026年)
登録申請料 140米ドル
更新 原則3年ごと
主な対象 米国税務、国際税務、海外赴任者税務、米国申告業務に関わる人

米国税理士(EA)とは

EAは、米国連邦税に関する専門能力を証明し、IRSに対して納税者を代理する資格です。IRSは、EAについて「納税者をIRSに対して代理する権限を得た者」と説明しています。

EAの大きな特徴は、弁護士やCPAと同様に、原則としてどの納税者、どの種類の税務事項、どのIRSオフィスに対しても広く代理できる点です。

EAは「米国の州ごとの税理士資格」ではありません。

IRSによる連邦資格であり、特定州だけに限定される資格ではありません。

EAになるまでの流れ

段階 内容
1 PTIN(Preparer Tax Identification Number)を取得
2 SEEの3 Partsに合格
3 最終Part合格から1年以内にForm 23で登録申請
4 140米ドルの登録申請料を支払う
5 税務コンプライアンス・犯罪歴等の適格性審査を受ける
6 承認後、EAとして登録

一部の元IRS職員は、過去の技術的な職務経験により試験免除を申請できる場合があります。ただし、一般の受験者はSEEの3 Partsすべてに合格する必要があります。

SEEの試験科目

Part 1:Individuals

個人の連邦税務が中心です。所得、資産、控除、税額控除、個人申告、特殊な個人税務などを扱います。

Part 2:Businesses

法人・パートナーシップなど事業体の税務が中心です。事業体の種類、事業所得、控除、税務申告、企業関連取引などを学びます。

Part 3:Representation, Practices and Procedures

IRSに対する代理、手続、職業倫理、Circular 230、税務実務上の責任などを扱います。税法計算だけではなく、税務専門家としてどのように納税者を代理するかが問われます。

Part 中心分野 特徴
Part 1 個人税務 個人所得税・控除・申告
Part 2 事業税務 法人・パートナーシップ等
Part 3 代理・手続・倫理 IRS実務、Circular 230

試験時間と問題数

SEEは各Part 100問の多肢選択式で、試験時間は各3.5時間です。3 Partsを同日に受ける必要はなく、好きな順番で受験できます。

Part 問題数 試験時間
Part 1 100問 3.5時間
Part 2 100問 3.5時間
Part 3 100問 3.5時間

2026年の受験料

2026年のSEE受験料は、1Partにつき317米ドルです。3 Partsすべてを1回ずつ受験すると、受験料だけで951米ドルとなります。

この317米ドルは、IRS側の試験ユーザーフィー66米ドルと、試験運営会社側の費用251米ドルから構成されています。

内訳 金額
IRS user fee 66米ドル/Part
試験運営会社費用 251米ドル/Part
合計 317米ドル/Part

古い記事の「Prometric受験料267米ドル」などは2026年には使えません。

2026年3月から試験運営会社がPSIへ変更され、受験料も改定されています。

2026年の試験日程

通常、SEEは5月1日から翌年2月末まで実施され、3月・4月は税法改正等を反映するためのブラックアウト期間です。

ただし2026年は試験運営会社変更の影響で、米国内の2026年試験は2026年7月1日~2027年2月28日となっています。

国際受験は2026年10月時点で延期中

国際受験について、IRSは当初2026年9月からの開始を予定していましたが、2026年10月4日時点では開始が延期されており、新しい開始日は未定です。

また、2026年から国際受験は原則としてリモート監督方式のみとされ、国際向けの対面試験会場は予定されていません。

日本から2026年に受験予定の人は、必ず最新情報を確認してください。

過去記事にある「東京や大阪のPrometric会場で受験」という情報は、2026年の国際試験運用にはそのまま当てはまりません。

合格済みPartの有効期間

合格したPartは、原則として合格日から3年間有効です。その期間内に残りのPartへ合格する必要があります。

たとえば2025年11月15日にPart 1へ合格した場合、原則として2028年11月15日までに残りのPartを合格する必要があります。

なお、2026年の試験運営変更・国際受験延期に伴い、一部受験者には有効期間の延長措置が設けられています。

合格率はどれくらい?

IRSは、2026年の各Partについて一般向けの公式合格率を常時公表しているわけではありません。そのため、本記事では民間スクール等の推定値を「公式合格率」として掲載しません。

公式な2026年Part別合格率は公表情報として確認できません。

ネット上の合格率はスクールや受験者統計を基にした数値の場合があります。公式値と混同しないよう注意してください。

EA試験の難易度

EAは、米国税務を専門的に学ぶ試験です。CPA Examより科目数は少ない一方、個人税務・事業税務・IRS手続へ集中しているため、米国税法に馴染みのない日本人には専門用語や制度理解が大きな壁になります。

難しいポイント 理由 対策
米国税法 日本の税制と考え方・制度が異なる 日本税制との比較ではなく米国制度として学ぶ
英語用語 税務専門語が多い 頻出用語を英語のまま理解する
Part 2 法人・事業体の税務範囲が広い 事業体ごとに整理する
Part 3 税計算とは異なる手続・倫理中心 Circular 230を体系的に学ぶ
法改正 米国税法が更新される 受験年度のCandidate Bulletin・教材を使う

EAの勉強時間

IRSは、SEE合格に必要な標準学習時間を公式には公表していません。以下は当サイトの目安です。

受験者タイプ 3 Parts合計の目安
税務・会計初学者 500~800時間
簿記・会計知識あり 400~650時間
米国税務実務経験あり 250~450時間
USCPA REG学習経験者 300~500時間

EAの勉強方法

1. Part 1から米国税務の基本を作る

個人税務は米国連邦税の基礎を理解しやすいため、初学者はPart 1から始める方法が一般的です。

2. Part 2は事業体ごとに整理する

Corporation、Partnershipなどを混ぜて覚えず、各事業体の課税方法と申告ルールを比較します。

3. Part 3を最後まで放置しない

Part 3は税額計算が中心ではありません。IRSへの代理、手続、倫理など独自内容が多いため、別科目として計画的に学びます。

4. 100問・3.5時間のペースに慣れる

1問あたりに使える時間を意識し、難問に長く滞在しない練習が必要です。

5. 受験年度の税法で学ぶ

米国税法は改正されるため、必ず受験年度対応教材を使用します。

6~9か月で3 Partsを目指す学習スケジュール例

期間 内容 目標
1~2か月 Part 1 個人税務の基礎を完成
3~5か月 Part 2 法人・事業税務を完成
6か月目 Part 3 代理・手続・倫理を完成
7~9か月 再受験・弱点補強 3 Parts合格

不合格になりやすい原因

失敗 原因 改善
古い税法教材を使う 試験年度と制度が違う 最新Candidate Bulletinに対応した教材を使う
Part 2を丸暗記する 事業体ごとのルールが混ざる 比較表で整理する
Part 3を軽視する 計算問題が少なく油断する Circular 230を反復する
受験期限を管理しない 合格Partが失効する 3年期限から逆算する
国際受験情報を更新しない 2026年は運営移行で日程が変動 IRS・PSIの最新案内を確認する

EA取得後の登録

3 Partsに合格したら、最後のPartに合格した日から1年以内にForm 23で登録申請します。2026年時点の登録申請料は140米ドルです。

IRSは登録時に、税務コンプライアンスと犯罪歴などを含む適格性審査を行います。未申告の税務申告や未納税がある場合、登録審査へ影響する可能性があります。

EA資格の更新と継続教育

EAは取得して終わりではありません。原則として3年ごとに登録更新が必要です。

項目 要件
更新周期 原則3年
継続教育 3年間で72時間
毎年最低 16時間
倫理 毎年最低2時間
PTIN 毎年更新

3年間の72時間のうち、66時間は適格な継続教育、6時間は倫理です。IRS認定のContinuing Education Providerの講座を利用する必要があります。

EAを取得するメリット

メリット 内容
米国税務に特化 個人・法人・IRS実務を体系的に学べる
IRSへの代理権 原則として広い代理権を持てる
州に限定されない 連邦資格として全米の連邦税務に対応
国際税務との相性 海外赴任者、米国法人・個人関連業務に活かせる
USCPAより税務特化 監査・会計全般より米国税務へ集中できる

EA資格だけで日本の税理士業務ができるわけではありません。

日本国内で税理士法上の税務代理・税務書類作成・税務相談を行うには、日本の税理士資格・登録等が必要です。EAは米国連邦税務の資格です。

EAを活かせる仕事

仕事 活かせる内容
米国税務事務所 個人・法人の米国税務申告
国際税務 海外赴任者・米国関連税務
CPAファーム Tax部門、IRS対応
外資系企業税務 米国関連の税務コンプライアンス
日系企業の海外部門 米国子会社・駐在員税務の理解

EAとUSCPAの違い

項目 EA USCPA
認定 IRS 米国各州・準州
中心分野 米国連邦税務 会計・監査・税務等
試験 3 Parts 4科目
学歴要件 SEE受験に大学単位要件なし 州ごとに学歴・単位要件あり
主なキャリア Tax、IRS代理 監査、会計、Tax、アドバイザリー

米国税務へ特化するならEA、会計・監査まで広く扱うならUSCPAが候補です。

国際税務の専門家を目指す場合は、EAとUSCPA、日本の税理士などを組み合わせるキャリアもあります。

2026年の重要制度変更

PrometricからPSIへ移行

2026年3月1日からSEEの試験運営会社がPrometricからPSI Servicesへ変更されました。

受験料は317米ドルへ

2026年4月20日以降の登録ではIRS user feeが66米ドルとなり、PSI側の251米ドルと合わせて1Part317米ドルです。

国際試験開始が延期

国際受験は当初2026年9月開始予定でしたが、2026年10月4日時点では延期中で、新開始日は未定です。

国際試験はリモート監督方式

IRSは2026年の国際SEEについて、対面国際会場ではなくリモート監督方式のみを案内しています。

EAに関するFAQ

日本人でも受験できますか?

受験資格上、米国籍である必要はありません。ただし、PTIN取得や国際受験の最新条件を満たす必要があります。

大学卒業は必要ですか?

SEE受験そのものにUSCPAのような大学単位要件はありません。

試験は何科目ですか?

Individuals、Businesses、Representation, Practices and Proceduresの3 Partsです。

3 Partsは順番通り受ける必要がありますか?

ありません。好きな順番で受験できます。

1つのPartは何回まで受けられますか?

同一Testing Windowで各Part最大4回まで受験できます。

合格Partは何年間有効ですか?

原則として合格日から3年間です。2026年の運営変更に伴い一部延長措置があります。

日本で2026年に受験できますか?

2026年10月4日時点では国際受験の開始が延期されています。最新日程はIRSとPSIで確認してください。

EAを取れば日本で税理士として働けますか?

日本の税理士資格とは別です。日本税務の税理士業務には日本の税理士資格・登録等が必要です。

EA資格に更新はありますか?

あります。原則3年ごとに更新し、継続教育72時間などの要件を満たす必要があります。

EAとUSCPAではどちらが難しいですか?

試験範囲と制度が異なるため単純比較はできません。EAは米国連邦税務に集中し、USCPAは会計・監査・税務等を広く扱います。

米国税理士(EA)のまとめ

EAはIRSが認定する米国連邦税務の専門資格です。SEEのIndividuals・Businesses・Representation, Practices and Proceduresの3 Partsへ合格し、Form 23による登録申請と適格性審査を経て取得します。2026年は試験運営がPrometricからPSIへ移行し、受験料は1Part317米ドルに変更されました。2026年10月時点では国際受験開始が延期中のため、日本から受験する人は最新情報の確認が必須です。資格取得後も3年ごとの更新と継続教育が必要です。

情報確認:2026年10月
主な確認先:IRS「Become an enrolled agent」「Enrolled agents: Frequently asked questions」「Maintain your enrolled agent status」「Enrolled agent news」「Applying for enrollment to practice before the IRS」「Internal Revenue Bulletin 2026-21」。
公式情報:IRS Enrolled Agents関連ページ

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