IPA/情報処理技術者試験 総合ガイド

情報処理技術者試験は、経済産業省所管の国家試験として、ITを利用するすべての人から高度IT専門家までを対象にした日本の代表的なIT試験制度です。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施し、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者、応用情報技術者、8区分の高度試験、情報処理安全確保支援士試験で構成されています。

2026年度は制度上の大きな転換点です。ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報に加え、応用情報、高度試験、情報処理安全確保支援士もCBTへ移行しました。さらに現行制度は2026年度で終了予定で、2027年度からはデータマネジメント試験の新設や、応用情報・高度試験を再編した「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」への移行が予定されています。

IPA試験を30秒で確認

  • 経済産業省所管の国家試験
  • 実施はIPA(情報処理推進機構)
  • 2026年度から全試験区分が原則CBT
  • ITパスポート:ITを使うすべての社会人向け
  • 情報セキュリティマネジメント:利用部門のSecurity担当向け
  • 基本情報:ITエンジニアの基礎
  • 応用情報:中級ITエンジニア
  • 高度試験:8つの専門分野
  • 情報処理安全確保支援士:Security専門家向け国家試験
  • 2027年度から試験制度を再編予定
制度 情報処理技術者試験 / 情報処理安全確保支援士試験
実施 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
所管 経済産業省
2026年度 全試験区分でCBT方式
受験手数料 7,500円
現行制度 2026年度で終了予定
新制度 2027年度から開始予定

情報処理技術者試験とは

情報処理技術者試験は、特定メーカーの製品知識ではなく、IT・デジタル技術に関する共通的な知識と技能を評価する国家試験です。

ITを使う一般社会人向けのITパスポートから、ITエンジニア向けの基本情報・応用情報、さらにネットワーク、データベース、プロジェクト管理、IT戦略などの高度専門分野まで、段階的に受験できます。

ベンダーニュートラルな国家試験

Cisco、Microsoft、Oracleなど特定製品に依存せず、IT全般の基礎から設計・管理・戦略までを体系的に学べるのが大きな特徴です。

2026年度の試験区分

区分 略号 主な対象
ITパスポート IP ITを利用するすべての人
情報セキュリティマネジメント SG 利用部門のSecurity担当
基本情報技術者 FE ITエンジニア基礎
応用情報技術者 AP 中級ITエンジニア
ITストラテジスト ST IT戦略・経営
システムアーキテクト SA System設計
プロジェクトマネージャ PM Project Management
ネットワークスペシャリスト NW Network
データベーススペシャリスト DB Database
エンベデッドシステムスペシャリスト ES 組込み
ITサービスマネージャ SM IT Service Management
システム監査技術者 AU IT Audit
情報処理安全確保支援士 SC Cyber Security

レベル感

目安 試験 位置づけ
Level 1 ITパスポート IT基礎
Level 2 基本情報技術者 IT技術者基礎
Level 3 応用情報技術者 応用レベル
Level 4 高度試験 専門家

情報セキュリティマネジメントは情報セキュリティを安全に利活用する人材向け、情報処理安全確保支援士は高度なセキュリティ専門家向けという別軸で考えると分かりやすくなります。

ITパスポート試験

ITパスポートは、ITを利用するすべての社会人・学生を対象とした国家試験です。経営、マネジメント、テクノロジを幅広く学びます。

略号 IP
試験方式 CBT・通年
試験時間 120分
問題数 100問
受験料 7,500円

ITパスポートが向いている人

対象 おすすめ度
IT初心者 非常に高い
非IT職 高い
学生 高い
ITエンジニア志望 基礎として有効

情報セキュリティマネジメント試験

情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティを適切に計画・運用・管理し、組織の情報を守る人材向けです。

高度な攻撃技術そのものより、リスク管理、Security Policy、Incident、委託先管理、人的対策などを重視します。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、ITエンジニアを目指す人の代表的な基礎国家試験です。

略号 FE
方式 CBT・通年
科目A 90分・60問
科目B 100分・20問
合格基準 科目A・Bとも評価点600点以上

科目Bが重要

科目Bではアルゴリズムとプログラミング、情報セキュリティが中心です。単なる用語暗記ではなく、処理を追う力が必要です。

未経験エンジニア転職ならFEを軸にしやすい

ITパスポートより技術寄りで、Programming、Database、Network、Securityを一通り学べるため、IT職への入口として使いやすい試験です。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、基本情報より一段高い技術・管理・戦略知識を評価するLevel 3試験です。

2026年度からCBTへ移行し、「午前」「午後」という名称も「科目A」「科目B」へ変更されました。出題形式・出題数・試験時間そのものはCBT移行前から変更されていません。

略号 AP
レベル 3
2026年度方式 CBT
科目A 多肢選択
科目B 記述式
受験料 7,500円

2026年度のAP CBT日程

2026年度前期の応用情報技術者試験では、科目Aと科目Bを別期間に受験します。

項目 前期
申込 2026年10月6日〜11月7日
科目A 2026年10月28日〜11月10日
科目B 2026年11月24日〜12月6日

高度試験とは

高度試験は、専門分野ごとのLevel 4試験です。2026年度の現行制度では8区分あります。

試験 向いている人
ITストラテジスト CIO、IT Consultant、経営企画
システムアーキテクト 上流設計、System Architect
プロジェクトマネージャ PM、Project Leader
ネットワークスペシャリスト Network Engineer
データベーススペシャリスト DB Engineer、DBA
エンベデッドシステムスペシャリスト 組込み・IoT Engineer
ITサービスマネージャ IT Service・Operation
システム監査技術者 IT Auditor、内部監査

ITストラテジスト

ITストラテジストは、経営戦略をもとにIT戦略を策定し、Digitalを活用した事業変革を企画・推進する人向けです。CIO、CTO、ITコンサルタントなどを目指す人に向いています。

システムアーキテクト

システムアーキテクトは、業務要件を整理し、情報システムの構造・機能・データ・インターフェースなどを設計する上流工程の専門家向けです。

プロジェクトマネージャ

プロジェクトマネージャ試験は、品質、コスト、納期、リスク、人員、Stakeholderなどを管理し、ITプロジェクトを成功へ導く能力を評価します。

ネットワークスペシャリスト

ネットワークスペシャリストは、Network設計、構築、運用、Security、Troubleshootingを専門とする技術者向けです。

データベーススペシャリスト

データベーススペシャリストは、Data Model、SQL、Transaction、性能、運用、Database設計などをベンダーニュートラルに評価します。

エンベデッドシステムスペシャリスト

組込みSystem、IoT、Hardware/Software協調設計、Real-time制御などを扱う専門試験です。

ITサービスマネージャ

ITサービスマネージャは、ITサービスの品質・継続性・運用・改善などを管理する専門家向けです。

システム監査技術者

システム監査技術者は、IT統制、Risk、内部統制、情報Systemの有効性・安全性を独立した立場で評価する人向けです。

情報処理安全確保支援士試験

情報処理安全確保支援士試験は、Cyber Security分野の高度な国家試験です。試験合格後、所定の登録を行うことで国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」として活動できます。

試験合格と登録資格は別

試験へ合格しただけで自動的に登録セキスペになるわけではありません。登録を行い、その後も資格維持のための手続き・講習が必要です。

2026年度から全試験がCBT

2026年度から、従来ペーパー試験だったAP・高度試験・SCもCBT方式へ移行しました。

試験 2025年度まで 2026年度
IP CBT CBT
SG CBT CBT
FE CBT CBT
AP Paper CBT
高度 Paper CBT
SC Paper CBT

CBT化で変わらないもの

IPAは、CBT移行に伴って知識・技能の範囲そのものは変更しないと案内しています。

項目 CBT移行
知識・技能範囲 変更なし
出題形式 変更なし
出題数 変更なし
試験時間 変更なし
科目名称 変更あり

科目名称の変更

旧名称 2026年度
午前 科目A
午後 科目B
午前Ⅰ 科目A-1
午前Ⅱ 科目A-2
午後Ⅰ 科目B-1
午後Ⅱ 科目B-2

高度試験の科目A-1免除

高度試験・情報処理安全確保支援士では、一定条件を満たすと共通知識を問う科目A-1が2年間免除される制度があります。

2027年制度移行でも経過措置を検討

IPAは、現行制度で取得した一部科目免除要件について、新制度でも一定期間使える経過措置を検討しています。

どの順番で受ける?

経験 おすすめルート
IT完全初心者 ITパスポート → 基本情報
ITエンジニア志望 基本情報 → 応用情報 → 専門
Security担当 SG → FE/AP → SC
Network Engineer FE → AP → NW
DB Engineer FE → AP → DB
Manager AP → PM / SM
IT Consultant AP → ST / SA

基本情報を飛ばして応用情報を受けてもいい?

制度上は可能です。受験資格に前提試験の合格要件はありません。

ただし、IT未経験者ならFEの範囲を理解してからAPへ進んだ方が学習しやすいでしょう。

応用情報を取らずに高度試験へ行ける?

こちらも制度上は可能です。ただし高度試験ではAP相当の共通知識と専門分野の高度な理解が前提になるため、実務経験者を除けばAPを経由する方が学習ルートとして自然です。

難易度の目安

試験 当サイト難易度目安
ITパスポート 初級
情報セキュリティマネジメント 初級〜標準
基本情報 標準
応用情報 やや高い
高度試験 高い
支援士 高い

勉強時間の目安

以下はIPA公式値ではなく当サイト目安です。

試験 初心者目安
ITパスポート 80〜150時間
SG 80〜150時間
FE 200〜350時間
AP FE相当から200〜350時間
高度 AP相当から200〜500時間以上
SC AP相当から250〜450時間

勉強方法

1. IPA公式シラバスを確認

受験年度のシラバスと試験要綱を基準にします。

2. 過去問題を使う

IPAは過去問題と解答例を公式公開しています。

3. 基礎資格は弱点分野を横断補強

Network、Database、Security、Algorithmなどを偏らせないことが重要です。

4. AP・高度は記述・論述対策を分ける

知識だけでなく、問題文から条件を読み取り、要求された形で答える練習が必要です。

5. CBT操作にも慣れる

2026年度からAP・高度・SCもComputer画面で解答するため、長文を画面で読む練習も有効です。

2027年度から試験制度が変わる

IPAは2027年度から新試験制度へ移行する予定です。現行制度は2026年度試験をもって終了予定です。

2026年度受験者は現行制度で受験

2027年度の新制度情報と、2026年度の現行試験要綱を混同しないようにしてください。

2027年度の主な変更

変更 概要
データマネジメント試験 データ・AI利活用の基礎試験を新設予定
AP・高度再編 プロフェッショナルデジタルスキル試験へ再編予定
マネジメント領域 専門スキルを再構成
データ・AI領域 AI・Data専門性を強化
システム領域 System・Technology専門性を再構成
Security・倫理 AI時代を踏まえ強化

2027年度の予定試験区分

予定区分 位置づけ
ITパスポート 継続・内容改定
情報セキュリティマネジメント 継続
基本情報技術者 継続
データマネジメント 新設予定
プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント) 新設予定
プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI) 新設予定
プロフェッショナルデジタルスキル(システム) 新設予定
情報処理安全確保支援士 継続・改定

今、応用情報や高度試験を受ける意味はある?

あります。IPA自身も2026年度の現行試験や過去の合格情報を、今後構築するスキル・キャリア情報基盤へ登録・活用できるよう検討しています。

制度変更を理由に受験を止める必要はない

2026年度合格実績が無効になるわけではありません。受験できるタイミングで現行資格を取得し、必要に応じて新制度の学習へつなげる考え方が現実的です。

IPA試験とベンダー資格の違い

項目 IPA Vendor資格
対象 IT共通知識・専門性 特定製品・Technology
例 FE、AP、NW、DB等 Cisco、Microsoft、Oracle等
更新 試験合格は原則失効なし 更新制が多い
実務製品 Vendor Neutral 直接的

おすすめの組み合わせ

職種 IPA 併用候補
Network FE → AP → NW Network+ / Cisco
Database FE → AP → DB ORACLE MASTER
Security SG / FE → SC Security系国際資格
Linux/Server FE / AP Linux+ / LPIC / RHCE
Cloud FE / AP Microsoft / Oracle等
Project AP → PM PMP等

就職・転職での使い方

ITパスポートはIT Literacy、FEはエンジニア基礎、APは中級技術者、高度試験は専門分野を学んだ証明として使いやすい資格です。

ただし資格だけで採用が保証されるわけではありません。Programming、設計、運用、Portfolio、GitHub、業務経験などと組み合わせることで効果が高まります。

よくある質問

情報処理技術者試験は国家資格ですか?

ITパスポート、基本情報、応用情報、高度試験などは国家試験です。情報処理安全確保支援士は、試験合格後に登録することで国家資格者になります。

2026年から全部CBTですか?

はい。2026年度からAP・高度・SCもCBT化され、原則として全試験区分がCBT方式になりました。

受験料はいくらですか?

2026年度は7,500円です。

基本情報を取らずに応用情報を受けられますか?

はい。受験資格上の前提試験はありません。

応用情報を取らずに高度試験を受けられますか?

はい。ただしAP相当の基礎知識がある方が学習しやすいです。

高度試験は何種類ありますか?

2026年度の現行制度では8区分です。

2027年に応用情報はなくなりますか?

現行のAP・高度試験は2026年度で終了予定で、2027年度からプロフェッショナルデジタルスキル試験へ再編される予定です。

2026年に応用情報を受けても無駄ですか?

無駄ではありません。合格実績が失効するわけではなく、IPAも2026年度の合格情報を今後のスキル情報基盤で活用できるよう検討しています。

2027年の新資格は確定していますか?

2026年10月時点では「予定」「仮称」を含む情報があります。最新のIPA公式発表を確認してください。

最初に何を受ければいいですか?

非IT職・完全初心者ならITパスポート、ITエンジニア志望なら基本情報、Security管理ならSGが代表的な入口です。

IPA/情報処理技術者試験のまとめ

IPAの情報処理技術者試験は、ITパスポートから基本情報、応用情報、8つの高度試験まで段階的にITスキルを評価する国家試験制度です。Security分野では情報セキュリティマネジメントと情報処理安全確保支援士試験があります。2026年度はAP・高度・SCもCBTへ移行し、全区分が原則CBTになりました。同時に2026年度は現行制度の最終年度となる予定で、2027年度からデータマネジメント試験の新設、AP・高度試験を再編したプロフェッショナルデジタルスキル試験への移行が予定されています。2026年度受験者は現行制度、2027年度以降の受験者は新制度の最新情報を確認しながら学習計画を立てることが重要です。

情報確認:2026年10月4日
主な確認先:IPA「試験区分一覧」「応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験におけるCBT方式での実施について」「令和8年度試験実施期間」「試験制度の見直しについて」「新試験制度のシラバス案」。

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