技術英語能力検定(技術英検)

「工業英語能力検定試験」は、現在は技術英語能力検定(技術英検)という名称で実施されています。1981年に第1回工業英語検定として始まり、第123回から現在の名称へ変更されました。

技術英検は、英会話力や4技能を総合的に測る一般的な英語試験とは異なり、技術文書・業務文書を正確・明確・簡潔に書く力を重視する資格です。評価の中心は、技術英語の「3C」――Correct(正確)、Clear(明確)、Concise(簡潔)です。

対象は理工系学生や技術者だけではありません。仕様書、マニュアル、研究論文、製品説明、Eメール、議事録、報告書、プレゼン資料など、仕事で英文を書く人にも関係する検定です。

技術英検を30秒で確認

  • 正式名称:技術英語能力検定
  • 略称:技術英検
  • 旧名称:工業英語能力検定/工業英検
  • 実施:一般社団法人 日本能率協会
  • 級:プロフェッショナル、1級、2級、3級
  • 評価軸:Correct・Clear・Conciseの3C
  • PBT:年3回
  • CBT:2級・3級は通年受検可能
  • 受検料:プロフェッショナル17,000円、1級9,000円、2級6,900円、3級3,600円
  • 合格基準:1~3級は60%以上、プロフェッショナルは75%以上+各設問条件
  • 2026年10月の次回PBT:第142回・2026年10月17日

技術英検とは

技術英検は、英語文書作成力を客観的に評価する検定です。科学技術分野や理系分野で使われる文書を題材にしながら、英文を正確・明確・簡潔に書く能力を評価します。

技術文書では、感情的・冗長な表現より、読み手が誤解しないことが重要です。そのため、正しい文法だけでなく、不要な語句を削る、曖昧な表現を避ける、文書目的に合う表現へ書き換える、といったテクニカル・ライティング能力が重視されます。

技術英検は「理系英単語の暗記試験」ではありません。

専門語彙も出題されますが、上位級ほど英文を3Cに沿って修正し、技術内容を誤解なく伝える能力が重要です。

「工業英検」から「技術英検」へ名称変更

旧「工業英語能力検定」は第122回までの名称です。第123回から技術英語能力検定へ変更され、級の対応関係も変わっています。

旧 工業英検 現 技術英検
工業英検1級相当 技術英検プロフェッショナル
工業英検2級相当 技術英検準プロフェッショナル
工業英検準2級相当 技術英検1級
工業英検3級相当 技術英検2級
工業英検4級相当 技術英検3級

旧工業英検の合格者が、履歴書で「技術英検○級」と書き換えることはできません。

公式サイトでは、旧制度合格者の保有資格は「工業英検○級」のままであり、「技術英検○級」と表記できないと案内されています。

2026年の試験概要

試験名 技術英語能力検定(技術英検)
実施団体 一般社団法人 日本能率協会
級 プロフェッショナル、1級、2級、3級
受検形式 PBT(ペーパー)/CBT(2級・3級のみ)
PBT実施 年3回
CBT実施 通年・随時
認定証 WEBマイページからダウンロード

2026年度のPBT試験日程

回 試験日 実施級 申込期間 結果発表
第140回 2026年1月10日 プロフェッショナル・1~3級 終了 2026年2月13日
第141回 2026年7月11日 プロフェッショナル・1~3級 終了 2026年8月14日
第143回 2027年1月30日 プロフェッショナル・1~3級 2026年11月13日~12月25日 2027年3月5日

2026年10月4日時点では第142回の受付は終了しています。次に申し込めるPBTは2027年1月30日の第143回です。

PBTとCBTの違い

比較 PBT CBT
方式 紙による筆記試験 会場PCを使うコンピュータ試験
実施級 プロフェッショナル・1~3級 2級・3級
時期 年3回 通年・随時
結果 後日マイページ 即日合否確認可能
模範解答 過去問題・模範解答あり 通年試験のため公開なし

受検料

級 個人受検料 団体受検料
プロフェッショナル 17,000円 17,000円
1級 9,000円 9,000円
2級 6,900円 6,400円
3級 3,600円 3,500円

各級のレベルと合格基準

級 主なレベル 合格基準
準プロフェッショナル プロフェッショナル受検者のうち実務レベルを認定 120/200点以上
1級 要約・議事録・Eメール等の短文を作成できる 120/200点以上
2級 テクニカル・ライティングに必要な知識を持つ 120/200点以上
3級 技術英語の基礎知識を持つ 120/200点以上

準プロフェッショナルは独立した申込区分ではなく、プロフェッショナル受検者のうち所定得点を満たした場合に認定される区分です。

出題内容

プロフェッショナル

プロフェッショナルは全問記述式です。800語前後の英文要約、200~300文字程度の和文英訳、冗長和文の英文要約、テクニカル・ライティングの考え方、冗長英文のリライトなどが出題されます。

単に英文を理解するだけでなく、情報を整理し、読み手に伝わる形へ再構成する能力が必要です。総合点だけでなく各設問にも条件があるため、得意問題だけで得点を稼ぐ戦略は通用しにくい試験です。

1級

1級は選択式と記述式が混在します。文脈に合う語句、適切なリライト、パラグラフ問題に加え、複数の文章を1文へまとめるリライトや和文英訳が出題されます。

1級から「自分で英文を書く力」が明確に問われます。

単語・文法の知識だけでなく、不要な語句を削り、情報を整理し、正確で簡潔な英文へ書き換える力が必要です。

2級

2級は全問マークシート方式です。語彙日英、語彙解釈、文脈に合う語の選択、短文リライト、和文英訳の空所補充、パラグラフ問題、語句並べ替えなどから構成されます。

3級

3級も全問マークシート方式です。語彙、文脈、フレーズの組み合わせ、和文英訳の空所補充、パラグラフ問題などが中心です。技術英語を初めて学ぶ人の入口に適しています。

公式合格率

旧記事には「1級20~30%程度と推定」などの記述がありましたが、推測値は使用しません。公式に公表されたPBT結果を掲載します。

回 プロフェッショナル 1級 2級 3級
第139回
2025年10月18日
実施なし 74%
90名・67名合格
38%
50名・19名合格
85%
279名・238名合格
第138回
2025年7月12日
4%
85名・3名合格
55%
83名・46名合格
71%
42名・30名合格
75%
215名・161名合格

合格率は回によって大きく変動します。3級でも第138回75%、第139回85%、第140回42%と差があるため、「この級は常に○%」と固定値で考えるのは適切ではありません。

プロフェッショナルは特に難易度が高いです。

第140回では102名が受検し、合格者は0名でした。実務レベルのテクニカル・ライティング品質が要求されます。

技術英検の難易度

級 難易度 難しい理由
3級 基礎 技術分野の語彙・語法に慣れる必要がある
2級 中級 文脈・語順・リライトを含めた理解が必要
1級 上級 記述式で英作文・要約・リライトが必要
プロフェッショナル 非常に高い 全問記述で実務品質を評価

苦戦しやすいポイント

分野 難しい理由 対策
3C 文法的に正しくても冗長・曖昧なら不十分 同じ意味をより短く正確に書く
技術語彙 一般英語と意味・使い方が異なる語がある 仕様書・マニュアル・論文の実例で覚える
リライト 誤り修正だけでなく文章自体を改善する必要 冗長語・曖昧語・長い修飾を削る
和文英訳 日本語の語順を直訳すると不自然 主語・動作・条件を整理して英語化
英文要約 重要情報を残しながら短くする必要 各段落の要点を抽出する

勉強時間の目安

日本能率協会は必要学習時間を公表していません。以下は当サイトの目安です。

目標 学習時間の目安 重点
3級 50~120時間 基礎語彙・文法・技術英文の型
2級 100~200時間 文脈、語法、リライト、パラグラフ
1級 200~400時間 記述式英作文、要約、リライト
プロフェッショナル 300~600時間以上 実務文書、英文要約、英訳、テクニカル・ライティング

具体的な勉強方法

STEP1 目標級のサンプル問題を確認する

最初に公式サンプルで形式を確認します。特に1級以上は一般英語試験の延長と考えると対策がずれやすいため、記述問題を先に確認しましょう。

STEP2 3Cを理解する

Correct、Clear、Conciseを意識し、「正しいか」だけでなく「短くできないか」「主語と動作が明確か」「一通りに解釈できるか」を確認します。

STEP3 公式教材・過去問題を使う

3級・2級向けには公式教材「技術英語Ⅰ」「技術英語Ⅱ」があり、2026年4月に改訂版が販売されています。過去問題と模範解答も試験水準の把握に有効です。

STEP4 冗長英文を短くする

上位級では、同じ意味を保ったまま英文を簡潔にする能力が重要です。不要なthere is/are構文、名詞化、重複表現、長い前置詞句などを見つけて修正します。

STEP5 実際の技術文書を読む

取扱説明書、仕様書、製品説明、論文Abstract、企業の技術資料などを読み、どのように情報が整理されているか確認します。

STEP6 1級以上は必ず英文を書く

選択問題だけでは記述対策になりません。和文英訳・要約・リライトを実際に書き、模範解答と比較します。

3か月学習スケジュール例

期間 内容 目標
1か月目 3C、頻出語彙、文法、公式教材 技術英文の基本構造に慣れる
2か月目 過去問、リライト、パラグラフ問題 合格基準を超える正答率へ
3か月目 本番形式、弱点復習、上位級は記述演習 時間内に安定して答案完成

不合格になりやすい原因

失敗 原因 改善
一般英語教材だけを使う 3C対策が不足 技術英検公式問題を中心にする
単語を一対一で暗記 文脈で適切な語を選べない 例文・技術文書内で覚える
長く書くほど良いと思う Conciseに反する 情報を落とさず短くする
日本語を語順どおり英訳 主語・論理が曖昧になる 意味構造を整理してから英語化
1級以上で記述練習不足 本番で英文が出てこない 毎週英訳・要約・リライトを書く

取得するメリット

メリット 内容
技術英文作成力を示せる 仕様書・マニュアル・論文などに必要な力を客観化
3Cを体系的に学べる 技術系以外のビジネス英文にも応用可能
専門性と英語を組み合わせられる 技術者・研究者のスキル証明に使いやすい
実務文書の品質改善 Eメール・報告書・プレゼン資料にも応用可能
CBTで受けやすい 2級・3級は通年受検可能

活かせる仕事

職種 活かせる業務
技術者・エンジニア 仕様書、設計資料、海外拠点との技術文書
研究者 論文、Abstract、研究報告、国際共同研究
技術翻訳者 マニュアル、技術資料、製品文書の翻訳
品質保証・品質管理 海外向け規格文書、手順書、報告書
メーカー海外部門 製品説明、Eメール、プレゼン資料
テクニカルライター マニュアル・説明書・Web技術コンテンツ

向いている人

タイプ おすすめ度 理由
技術翻訳者を目指す 高い 3C・リライト・英訳を体系的に学べる
仕事で英文文書を書く 高い 技術系以外の業務文書にも応用可能
英会話力を証明したい 低い 会話ではなく文書作成力中心
一般的な英語スコアが欲しい 中 TOEIC等との併用が現実的

技術英検とTOEIC・英検の違い

比較 技術英検 TOEIC L&R 英検
中心能力 技術・業務英文の理解と作成 聞く・読む 級に応じた総合英語力
特徴 3C、リライト、技術文書 スコア型 級認定
Speaking なし なし 級により面接あり
向いている人 技術者・研究者・英文作成者 就職・転職等で英語理解力を示したい 4技能を級で示したい

どれを選ぶ?

技術英検はTOEICや英検の代替ではなく、専門性を補う資格です。一般的な英語力はTOEIC・英検、仕事で技術英文を書く力は技術英検、という使い分けが分かりやすいでしょう。

2026年時点で確認しておきたい変更

項目 現状
名称 工業英検 → 技術英検へ変更済み
級 プロフェッショナル・1級・2級・3級
CBT 2級・3級は通年受検可能
受検票・認定証 2023年度から郵送を廃止しWEBダウンロード
公式教材 「技術英語Ⅰ」「技術英語Ⅱ」が2026年4月に改訂
次回PBT 2026年10月17日、その次は2027年1月30日

技術英検のFAQ

工業英語能力検定は廃止されたのですか?

試験自体がなくなったわけではありません。第123回から名称が「技術英語能力検定(技術英検)」へ変更され、現在も継続実施されています。

昔の工業英検資格は無効ですか?

無効ではありません。ただし履歴書などでは旧資格名「工業英検○級」と記載し、現行の「技術英検○級」へ勝手に置き換えないよう公式に案内されています。

何級から受ければよいですか?

技術英語を初めて学ぶ人は3級、基礎英語があり技術文書にも触れている人は2級が候補です。英文作成・リライトまで実践したい人は1級以上を検討します。

2級・3級はいつ受けられますか?

PBTは年3回ですが、2級・3級はCBTで通年・随時受検できます。

1級をCBTで受けられますか?

できません。CBTの対象は2級・3級です。1級・プロフェッショナルはPBTを利用します。

合格率は何%ですか?

回・級によって大きく変わります。公式PBT実績では第140回で1級50%、2級61%、3級42%、プロフェッショナル0%でした。

独学できますか?

可能です。公式教材、過去問題、模範解答、サンプル問題が利用できます。1級以上は記述式があるため、英文添削を受けられると効率が上がります。

TOEIC高得点なら技術英検も簡単ですか?

必ずしもそうではありません。TOEIC L&Rは聞く・読むが中心ですが、技術英検上位級ではリライト、和文英訳、英文要約など文書作成力が問われます。

英会話の資格として使えますか?

技術英検は英会話力を直接評価する試験ではありません。英文文書作成・読解・テクニカル・ライティング能力を示す資格です。

プロフェッショナルはなぜ難しいのですか?

全問記述式で、実務レベルの要約・英訳・リライト能力が必要なうえ、総合点75%以上に加えて各設問にも最低基準があるためです。

技術英検のまとめ

旧「工業英語能力検定」は、現在「技術英語能力検定(技術英検)」として継続しています。技術英検は、Correct・Clear・Conciseの3Cを基準に、仕様書、マニュアル、論文、Eメールなどの英文文書作成力を評価する専門資格です。現行級はプロフェッショナル・1級・2級・3級で、2級・3級はCBTによる通年受検も可能です。上位級では英文要約、リライト、和文英訳など実務的なアウトプットが重要になります。旧工業英検合格者は資格名を現行級へ読み替えず、旧資格名のまま履歴書等へ記載しましょう。

情報確認:2026年10月
主な確認先:一般社団法人日本能率協会「技術英検とは」「検定を受ける」「受検形式」「出題形式・レベル・内容・サンプル試験問題」「実施結果・受検者と合格推移」「技術英語を学ぶ」。
公式情報:
技術英検 公式サイト /
技術英検とは /
検定を受ける /
PBT・CBT受検形式 /
出題形式・レベル /
実施結果・合格推移

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