証券アナリスト

証券アナリストは、企業価値、証券市場、ポートフォリオ、財務、経済などを分析し、投資判断や資産運用に活かす専門職です。日本で「証券アナリスト資格」として広く知られているのが、公益社団法人日本証券アナリスト協会が認定する日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)です。

CMAは、単に試験へ申し込んで合格すれば取得できる資格ではありません。まず協会の第1次レベル講座を受講し、第1次試験3科目に合格した後、第2次レベル講座を受講して第2次試験に合格します。そのうえで、原則として証券分析等に関係する3年以上の実務経験が認定され、協会の検定会員として入会するとCMAの資格称号を使用できます。

2026年は制度面でも重要な変更があり、第1次試験では秋試験からCBT方式が導入されました。従来の紙試験(PBT)も一部会場で継続されますが、国内では全国のテストセンターでCBTを選べるようになり、受験方法の自由度が高まっています。

証券アナリスト(CMA)を30秒で確認

  • 資格名:日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
  • 実施団体:公益社団法人日本証券アナリスト協会
  • 受講資格:第1次レベル講座は年齢・学歴等の制限なし
  • 取得ルート:第1次講座→第1次3科目合格→第2次講座→第2次試験合格→実務経験3年以上→検定会員入会
  • 2026年第1次春:3科目延べ合格者比率44.6%
  • 2026年第2次:受験者2,317人、合格者973人、合格率42.0%
  • 2026年度第1次講座:一般69,000円、会員受講者63,000円
  • 2026年度第2次講座:66,000円
  • 2026年第2次試験受験料:17,500円
  • 2026年秋:第1次試験にCBT方式を導入
  • 当サイトの学習時間目安:第1次350~550時間、第2次250~400時間程度
  • 主な活用:証券、銀行、運用会社、投資調査、企業財務、IR、M&A、リスク管理
資格名 日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
実施団体 公益社団法人日本証券アナリスト協会
第1次講座受講資格 制限なし
第1次試験 3科目
第2次試験 全学習分野の総合試験
資格称号までの実務要件 原則3年以上
第1次講座受講料 一般69,000円/会員受講者63,000円
第2次講座受講料 66,000円
主な対象 証券・銀行・資産運用・企業財務・IR・投資分析などに関わる人

証券アナリスト(CMA)とは

CMAは、金融・資本市場で必要となる証券分析、企業分析、ポートフォリオ・マネジメント、財務、経済、数量分析、職業倫理などを体系的に学ぶ資格です。

名称には「証券アナリスト」とありますが、活用分野は株式アナリストだけに限られません。銀行の融資・審査、資産運用会社のファンド運用、事業会社の財務・IR、M&A、リスク管理、金融システム開発、経済・産業調査などでも知識を活かせます。

CMAは講座受講が必須です。

第1次・第2次とも、日本証券アナリスト協会の講座を受講せずに試験だけ受けることはできません。「市販教材で勉強して直接受験」という一般的な検定とは制度が異なります。

CMA資格取得までの流れ

段階 内容
1 第1次レベル講座を一括受講
2 第1次試験3科目すべてに合格
3 第2次レベル講座を受講
4 第2次試験に合格
5 原則3年以上の実務経験が認定される
6 日本証券アナリスト協会の検定会員として入会
7 CMA資格称号を使用

実務経験は、講座受講前の経験も通算できます。第2次試験に合格した時点で3年に達していない場合は、要件を満たすまで「検定会員補(CCMA)」として登録する制度があります。

第1次レベル講座と試験

第1次レベル講座では6つの学習分野をまとめて受講し、その内容を3つの試験科目に分けて受験します。

試験科目 主な学習分野
科目Ⅰ 証券分析とポートフォリオ・マネジメント
科目Ⅱ 財務分析、コーポレート・ファイナンス
科目Ⅲ 市場と経済の分析、数量分析と確率・統計、職業倫理・行為基準

2026年度第1次レベル講座

項目 内容
申込期間 2026年5月20日~2027年1月31日
開講期間 2026年6月1日~2027年1月31日
一般受講料 69,000円
会員受講者 63,000円
受講資格 年齢・学歴等の制限なし
最初に受験できる年 2027年

2026年度講座を受講した場合、2027年・2028年・2029年の3年間に行われる春・秋試験を受験できます。第1次試験は科目別に受験でき、3科目を一度に受ける必要はありません。

第1次試験の受験料

科目 受験料
科目Ⅰ 7,000円
科目Ⅱ 3,500円
科目Ⅲ 3,500円

2026年秋から第1次試験にCBT方式が導入され、受験料の支払い方法など一部運用も変更されています。申込み時はCBTソリューションズ社の受験者専用サイトに表示される最新情報を確認してください。

2026年の第1次試験日程

試験 国内試験日 申込期間
春試験 2026年4月26日 2月6日~3月5日
秋試験 2026年9月27日 CBT:7月1日~9月4日/PBT:7月1日~8月3日

2026年10月4日時点では秋試験は実施済みですが、合否公表は11月中旬頃の予定です。そのため、最新の確定済み合格データは2026年春試験です。

2026年第1次春試験の合格率

科目 受験者数 合格者数 合格率
科目Ⅰ 2,084人 899人 43.1%
科目Ⅱ 2,411人 1,223人 50.7%
科目Ⅲ 2,127人 833人 39.2%
3科目単純合計 6,622人 2,955人 44.6%

「第1次合格率44.6%=受験者の44.6%が3科目すべて合格した」という意味ではありません。

公式の44.6%は、3科目の受験者・合格者を単純合計した比率です。科目ごとに合格を積み上げる制度なので、資格全体の合格率とは分けて考える必要があります。

第2次レベル講座と試験

第1次試験3科目すべてに合格すると、第2次レベル講座へ進めます。第2次では、第1次で学んだ知識を統合し、実務へ応用する力が求められます。

2026年度第2次レベル講座

項目 内容
申込期間 2026年6月1日~2027年3月31日
開講期間 2026年8月1日~2027年3月31日
受講料 66,000円
受験可能期間 受講年度の翌年から3年間

第2次試験で問われる内容

  • 証券分析とポートフォリオ・マネジメント
  • コーポレート・ファイナンスと企業分析
  • 市場と経済の分析
  • 職業倫理・行為基準

第2次試験では、計算問題だけでなく記述式の応用問題も出題されます。正解の数値だけでなく、結論に至る論旨展開も評価されるため、第1次より実務的・総合的な答案作成力が必要です。

2026年第2次試験

項目 内容
国内試験日 2026年6月7日
申込期間 2026年3月15日~4月14日
受験料 17,500円
受験者数 2,317人
合格者数 973人
合格率 42.0%

過去5年間の第2次合格率

年 受験者数 合格者数 合格率
2026年 2,317人 973人 42.0%
2025年 2,522人 1,121人 44.4%
2024年 2,556人 1,139人 44.6%
2023年 2,548人 1,189人 46.7%
2022年 3,405人 1,865人 54.8%

第2次試験は、第1次を突破した受験者がさらに講座を受講して挑む試験です。そのため、合格率40%台だから簡単とはいえません。受験者自体が一定レベルの知識を持つ層に絞られています。

証券アナリスト試験で苦戦しやすいポイント

分野 難しい理由 対策
証券分析 債券・株式・デリバティブなど範囲が広い 公式の意味と価格変動の関係を理解する
ポートフォリオ リスク・リターン、分散、CAPMなど数式が多い 計算を反復し、各式の前提を整理する
財務分析 会計数値から企業価値や収益性を判断する必要がある 財務諸表を実際に読みながら指標を計算する
コーポレート・ファイナンス DCF、資本コスト、投資判断が抽象的 キャッシュフローの時系列を図にする
数量分析 確率・統計に苦手意識を持ちやすい 公式暗記より例題で意味を理解する
職業倫理 総得点が足りても基準未達で不合格になる場合がある 後回しにせず独立分野として対策する
第2次記述 知識だけでなく論理的な説明が必要 過去問で答案構成と記述量を練習する

合格基準の考え方

CMA試験は「60点以上で合格」のような固定点ではありません。日本証券アナリスト協会は、上位一定割合の受験者の平均得点を基準として合否を決定するとしています。

さらに、第1次の科目Ⅲや第2次試験では、総得点が合格最低点を上回っていても、職業倫理・行為基準の得点が一定水準に達しなければ不合格となります。

倫理は捨て科目にできません。

金融・資本市場の専門家として顧客利益や市場の公正性を守ることが資格の重要部分に含まれているため、倫理には独立した足切り的な基準があります。

証券アナリストの勉強時間

日本証券アナリスト協会は、合格に必要な標準学習時間を公式には示していません。以下は当サイトの目安です。

受験者タイプ 第1次 第2次 重点
金融・会計初学者 450~550時間 300~400時間 財務・経済・統計の基礎から学ぶ
銀行・証券勤務 300~450時間 250~350時間 未経験分野と試験形式を補強
簿記・会計経験者 350~500時間 250~350時間 証券分析・経済・数量分析を重点化
資産運用実務経験者 250~400時間 200~300時間 倫理・財務・記述答案を確認

証券アナリストの勉強方法

1. 講座テキストで全体像を把握する

CMAは協会講座が前提です。まず配本されるテキストで学習分野全体を一巡し、どの論点がどの試験科目に属するか整理します。

2. 数式を丸暗記せず意味を理解する

証券分析では現在価値、利回り、分散、共分散、β、資本コストなど数式が多く登場します。公式だけ覚えると設定が変わった問題で崩れるため、「何を測る式か」を説明できる状態にします。

3. 財務分析は企業の決算書と結び付ける

ROE、ROA、利益率、キャッシュフローなどを、実際の上場企業の財務諸表で確認すると理解が深まります。

4. 第1次は科目別に弱点を管理する

3科目を同時に完璧にする必要はありません。科目合格を積み上げられるため、学習時間が限られる場合は得意科目から確実に合格する戦略も取れます。

5. 第2次は記述答案を実際に書く

第2次は知識を読むだけでは対策不足です。過去問を使い、計算過程、根拠、結論を制限時間内で答案にまとめる訓練をします。

6. 職業倫理を最後まで残さない

倫理は総合点とは別に不合格要因になる可能性があります。試験直前だけではなく、各分野の実務判断と結び付けて継続的に学習します。

学習スケジュール例

期間 学習内容 到達目標
1~2か月 証券分析・財務分析の基礎 主要公式・財務指標を理解
3~4か月 ファイナンス・経済・統計 第1次全範囲を一巡
5か月目 科目別問題演習 弱点分野を特定
6か月目 総合演習・倫理 受験科目で合格圏を安定させる
第1次合格後 第2次講座・記述演習 知識を企業・市場分析へ応用する

不合格になりやすい原因

失敗 原因 改善
公式だけ暗記する 条件が変わると計算できない 公式の意味と導出の考え方を理解する
財務分析を用語暗記で済ませる 企業事例に適用できない 実際の財務諸表で指標を計算する
統計を捨てる 科目Ⅲで得点が不足する 基本問題から確率・分散・回帰へ段階的に進む
倫理を軽視する 総得点が足りても不合格になる可能性がある 独立分野として反復する
第2次で計算だけする 論旨展開の得点を失う 根拠と結論を文章で書く
講座受講年度と受験期限を管理しない 受験可能期間を失う マイページで受験可能最終年を確認する

証券アナリストを取得するメリット

メリット 内容
投資分析を体系化できる 株式・債券・ポートフォリオ・経済・財務を横断して学べる
企業価値評価に強くなる 財務分析やコーポレート・ファイナンスを実務へ応用しやすい
金融業界で評価されやすい 銀行、証券、運用会社などで専門知識の証明になる
事業会社でも活かせる 財務、IR、経営企画、M&Aなどに応用できる
上位学習へつながる CIIAなど国際的な投資分析資格へのステップにもなる

CMAを取得すれば必ずアナリスト職へ転職できるわけではありません。

金融専門職では、資格に加えて実務経験、担当業界の知識、英語、モデル構築、プレゼンテーション、データ分析なども評価されます。資格は専門知識を体系化し、能力を示す材料の一つです。

証券アナリスト資格を活かせる仕事

職種 活かせる業務
株式アナリスト 企業分析、業績予想、バリュエーション、投資判断
ファンドマネージャー ポートフォリオ構築、銘柄選択、リスク管理
クレジットアナリスト 企業の信用力、債券、デフォルトリスクの分析
銀行 融資審査、企業分析、資産運用相談
IR 投資家向け説明、財務情報・企業価値の発信
経営企画・財務 投資判断、資本政策、企業価値評価
M&A・FAS 企業価値評価、財務分析、デューデリジェンス
金融IT 金融商品・運用・リスク管理関連システムの企画・開発

証券アナリストに向いている人

タイプ おすすめ度 理由
金融・投資を体系的に学びたい 高い 証券・財務・経済・統計を横断して学べる
銀行・証券・運用業界で働く 高い 業務と学習内容が直結しやすい
企業財務・IRを担当する 高い 企業価値・資本市場の理解に役立つ
計算を完全に避けたい 低い ファイナンス・統計の計算が多い
短期間で簡単な資格を取りたい 低い 講座受講、第1次、第2次、実務要件まで段階が多い

CMAとCFAの違い

項目 CMA CFA
主な運営 日本証券アナリスト協会 CFA Institute
学習言語 主に日本語 英語
主な対象 日本の金融・資本市場を中心に専門性を高めたい人 グローバルな投資運用・分析分野を目指す人
試験構成 第1次3科目+第2次総合試験 Level I~III
実務経験 CMA称号に原則3年以上 Charter取得に所定の実務経験等が必要
特徴 日本語で金融・財務・経済を体系的に学べる 国際的な投資専門資格として認知度が高い

国内金融キャリアならCMA、海外・外資系を強く意識するならCFAが候補です。

ただし両資格は完全な代替関係ではありません。日本の金融機関ではCMAが研修・昇格・専門人材育成に使われることがあり、CFAは英語で国際的な投資分析を学ぶ資格です。目指す市場と職種で選びましょう。

2026年度の制度変更

第1次秋試験からCBT方式を導入

2026年秋試験から、第1次試験にCBT方式が導入されました。国内では全国のテストセンターから会場を選択でき、東京では従来型のPBT方式も設定されています。海外会場はPBT方式です。

CBTとPBTは同一日時・同一出題

CBT方式とPBT方式は、試験日時・出題内容を同一として一斉実施されます。CBTだから出題範囲や難易度が別になるわけではありません。

2026年度は受講料・受験料も改定

協会は物価・試験運営コスト等を背景に、2026年度のCMA受講料・受験料を改定しています。第1次レベル一般受講料は69,000円、第2次レベル講座は66,000円、2026年第2次試験受験料は17,500円です。

古い記事では「第1次はマークシートの紙試験のみ」と書かれている場合があります。

2026年秋からCBTが導入されているため、今後受験する人は最新の試験方式・会場・申込方法を確認してください。

証券アナリストに関するFAQ

証券会社に勤務していなくても受講できますか?

できます。第1次レベル講座は年齢・学歴・勤務先などの制限なく受講できます。

講座を受けずに試験だけ受けられますか?

受けられません。CMAは第1次・第2次とも協会講座の受講が受験資格につながる制度です。

第1次3科目を一度に合格する必要がありますか?

ありません。受験可能期間内で科目合格を積み上げることができます。

第1次試験は何年間受けられますか?

原則として第1次レベル講座を受講した翌年から3年間です。期間内にすべての科目へ合格できない場合は、所定期間内に再受講する制度があります。

2026年から試験は全部CBTですか?

いいえ。2026年秋の第1次試験から国内でCBT方式が導入されましたが、PBT方式も一部会場で実施されます。第2次試験は記述式を含む総合試験です。

実務経験がなくても第2次試験を受けられますか?

受験自体は可能です。実務経験3年以上はCMA資格称号を取得して検定会員になる段階で必要です。第2次合格後、実務経験が不足している人は検定会員補制度を利用できます。

どんな実務経験が認められますか?

資産運用・証券投資相談、リサーチ、投資、資金調達、法人融資・与信審査、金融IT、経済・産業調査、事業会社の財務・企画、IR、監査法人の監査などが例として挙げられています。

独学できますか?

受験には協会講座の受講が必須ですが、学習自体は講座テキストを中心とした自習方式です。必要に応じて市販問題集やスクールを補助的に使う方法があります。

合格点は何点ですか?

固定点は公表されていません。上位一定割合の受験者の平均得点を基準に合否が決まり、倫理分野には独立した最低基準があります。

資格に更新期限はありますか?

CMAは第2次試験合格と実務経験だけで完結せず、協会の検定会員として入会して資格称号を使用する制度です。会員制度・継続手続きについては協会の最新規定を確認してください。

証券アナリスト(CMA)のまとめ

CMAは、証券分析、ポートフォリオ、企業財務、経済、統計、職業倫理を体系的に学ぶ、日本の金融・資本市場向け専門資格です。第1次・第2次とも講座受講が必須で、第2次合格後、原則3年以上の実務経験を満たして検定会員となることでCMAの資格称号を使用できます。2026年第1次春試験の3科目延べ合格者比率は44.6%、第2次試験は2,317人中973人合格、合格率42.0%でした。2026年秋から第1次試験にCBTが導入されるなど制度変更もあるため、受験前には必ず最新案内を確認しましょう。

情報確認:2026年10月
主な確認先:公益社団法人日本証券アナリスト協会「資格・教育体系」「2026年度CMA第1次レベル講座」「2026年度CMA第2次レベル講座」「2026年CMA第1次試験」「2026年CMA第2次試験」「CMA第1次レベル試験データ」「CMA第2次レベル試験データ」「CMA第1次試験へのCBT方式導入について」。
公式情報:日本証券アナリスト協会 CMA資格

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