基本情報技術者試験(FE)は、ITエンジニアとして必要な基礎知識・技能を幅広く評価する国家試験です。ネットワーク、データベース、情報セキュリティ、アルゴリズム、ソフトウェア開発、マネジメント、経営戦略までを扱い、特に科目Bでは擬似言語を使ったアルゴリズム・プログラミング問題が中心になります。
基本情報技術者試験を30秒で確認
- ITエンジニア志望者の定番となる国家試験
- 科目A:90分・60問、科目B:100分・20問
- 科目A・科目Bともに評価点600点以上/1,000点が必要
- 科目Bはアルゴリズムとプログラミング約8割、情報セキュリティ約2割
- 令和7年度(2025年度)の合格率は38.3%
- 受験資格に学歴・年齢・実務経験の制限なし
- 2027年度から新試験制度へ移行予定
| 資格名 | 基本情報技術者試験 |
|---|---|
| 略号 | FE |
| 資格種別 | 国家試験 |
| 実施団体 | 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) |
| 試験方式 | CBT方式 |
| 科目A | 90分・60問・四肢択一 |
| 科目B | 100分・20問・多肢選択式 |
| 受験資格 | 制限なし |
| 受験手数料 | 7,500円(税込) |
| 主な対象 | ITエンジニア志望者、若手エンジニア、情報系学生 |
| 次に検討しやすい資格 | 応用情報技術者試験 |
基本情報技術者試験とは
基本情報技術者試験は、ITを活用した戦略、システム企画、要件定義、設計、開発、運用に関する基本的な知識と技能を評価する試験です。IPAは、上位者の指導のもとでシステムの企画・要件定義、設計・開発・運用に参加し、自らプログラムを作成できるレベルを期待しています。
ITパスポートが「ITを利用するすべての社会人向け」であるのに対し、基本情報技術者はITエンジニアとして働くことを意識した内容です。単なる用語暗記ではなく、システムがどう動くか、プログラムがどう処理されるか、障害や脅威にどう対応するかまで理解する必要があります。
ITエンジニア志望なら、最初の本格的な国家試験
プログラマ、システムエンジニア、インフラエンジニア、社内SEなどを目指す人にとって、IT全体の基礎を体系的に確認できる資格です。ITパスポートより技術寄りで、応用情報技術者より基礎寄りという位置づけです。
基本情報技術者試験の試験概要
| 項目 | 科目A | 科目B |
|---|---|---|
| 試験時間 | 90分 | 100分 |
| 出題数 | 60問 | 20問 |
| 解答数 | 60問 | 20問 |
| 形式 | 多肢選択式・四肢択一 | 多肢選択式 |
| 主な内容 | IT全般の基礎知識 | アルゴリズム・プログラミング、情報セキュリティ |
| 合格基準 | 評価点600点以上/1,000点 | 評価点600点以上/1,000点 |
科目Aと科目Bは、どちらか一方だけ得点できればよい試験ではありません。両方で基準点を超える必要があります。そのため、科目Aだけを長期間勉強し、科目Bを直前に始める進め方はおすすめしません。
CBT方式とは
基本情報技術者試験は、試験会場のコンピュータを使って受験するCBT方式です。通年実施となっているため、従来の春期・秋期だけの試験と比べて受験時期を選びやすくなっています。
2027年1月以降の試験実施に注意
IPAは、予定していたシステムリプレースを延期し、CBT試験の休止時期を2027年1月以降へ延期しています。2027年1月以降の実施については別途案内されるため、年末年始に受験する場合は最新スケジュールを確認してください。
科目Aの出題範囲
科目Aは、テクノロジ、マネジメント、ストラテジの3分野から幅広く出題されます。ITパスポートと共通するテーマもありますが、基本情報技術者では技術分野の深さが増し、計算問題やアルゴリズム、データ構造、コンピュータ構成なども重要になります。
| 大分類 | 主なテーマ | 学習ポイント |
|---|---|---|
| 基礎理論 | 2進数、集合、論理、確率、アルゴリズム | 計算問題を避けずに練習 |
| コンピュータシステム | CPU、メモリ、OS、仮想化、性能 | 処理速度・稼働率の計算に慣れる |
| 技術要素 | DB、ネットワーク、セキュリティ | 用語だけでなく仕組みを理解 |
| 開発技術 | 設計、テスト、開発手法 | 工程と成果物を対応させる |
| プロジェクト管理 | 進捗、品質、コスト、リスク | 管理対象の違いを整理 |
| サービス管理 | ITサービス、SLA、運用 | 用語の役割を区別 |
| 経営戦略 | 企業活動、会計、法務、戦略 | IT経験者ほど軽視しない |
科目Aで苦手になりやすい分野
| 分野 | つまずきやすい理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 2進数・論理演算 | 普段使わない計算 | 変換・演算を手で繰り返す |
| CPU性能 | 単位と式が混ざりやすい | MIPS・クロック・命令実行時間を整理 |
| データベース | 正規化・SQLが混同しやすい | 小さな表を作って考える |
| ネットワーク | プロトコル・ポート・機器が多い | 通信の流れに沿って整理 |
| セキュリティ | 攻撃と対策の組合せが多い | 攻撃→被害→対策で覚える |
科目Bの出題範囲
科目Bは基本情報技術者試験の最大の特徴です。IPAのサンプル問題では、「アルゴリズムとプログラミング」が約8割、「情報セキュリティ」が約2割を想定しています。
| 分野 | 出題割合の目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| アルゴリズムとプログラミング | 約80% | 擬似言語、変数、配列、条件分岐、繰返し、関数、再帰、データ構造、探索・整列など |
| 情報セキュリティ | 約20% | アクセス制御、マルウェア、バックアップ、ログ、脆弱性管理、運用セキュリティなど |
科目Bで扱う擬似言語とは
科目Bでは、JavaやPythonなど特定のプログラミング言語を指定して解くのではなく、IPAの擬似言語を使います。変数宣言、代入、if文、繰返し、関数呼び出しなど、一般的なプログラミング構造を簡略化して表現します。
そのため、特定言語の文法暗記よりも「処理を上から追って、変数の値がどう変わるか」「配列のどの要素を参照するか」「条件分岐でどちらへ進むか」を理解する能力が重要です。
科目Bは「読む練習」が重要
擬似言語を眺めて理解したつもりになるのではなく、変数表や配列の状態を紙に書きながら処理を追います。1問ごとに「どの行で値が変わったか」を確認すると、ミスの原因を特定しやすくなります。
科目Bで重点的に学びたいテーマ
| テーマ | 重要ポイント | 対策 |
|---|---|---|
| 変数・配列 | 添字と値の変化 | 表を書いて追跡 |
| 条件分岐 | 条件の真偽 | 条件式を分解 |
| 繰返し | 回数と終了条件 | 1回ずつ値を追う |
| 再帰 | 呼出し順と戻り値 | スタック状に書き出す |
| スタック・キュー | LIFO/FIFO | 図で状態を追う |
| 木構造・グラフ | 探索順序 | ノードを図示 |
| 整列・探索 | 比較回数・処理順 | 小さいデータで手計算 |
基本情報技術者試験の難易度・合格率
基本情報技術者試験は、ITエンジニアの入口となる試験ですが、ITパスポートより難易度は明確に上がります。理由は、技術範囲の広さに加え、科目Bで処理を考える問題が多いためです。
通年CBT化後の年間統計
| 年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 140,774人 | 121,611人 | 57,278人 | 47.1% |
| 令和6年度 | 157,259人 | 133,732人 | 54,501人 | 40.8% |
| 令和7年度 | 172,217人 | 147,186人 | 56,370人 | 38.3% |
通年CBT化直後の令和5年度は47.1%でしたが、令和6年度40.8%、令和7年度38.3%と推移しています。単純に「合格率が高いから簡単」と判断するのは危険です。
合格率だけで難易度を判断しない
受験者層、学習経験、CBT化による受験タイミングなどが影響するため、合格率だけで試験そのものの難易度を断定できません。科目A・Bそれぞれで基準点を超える実力を作ることが重要です。
基本情報技術者試験の勉強時間
IPAは必要学習時間を公式には定めていません。以下は当サイトの学習目安です。
| 受験者タイプ | 学習時間の目安 | 重点ポイント |
|---|---|---|
| IT完全初心者 | 250〜400時間 | 科目A基礎+擬似言語 |
| ITパスポート合格者 | 180〜300時間 | 技術分野と科目B |
| 情報系学生 | 100〜200時間 | 経営・法務+科目B |
| 若手ITエンジニア | 80〜180時間 | 苦手分野と試験形式 |
| プログラミング経験者 | 80〜150時間 | 科目Aの非技術分野 |
基本情報技術者試験の勉強方法
おすすめの学習順序
- 科目Aの全範囲を一度通して全体像をつかむ
- 科目Bの擬似言語を早めに始める
- 科目Aを分野別問題で反復する
- 科目Bを毎日1〜3問ずつ継続する
- 公開問題・サンプル問題で本番形式に慣れる
- 科目A・Bのどちらかに偏っていないか確認する
科目Aが終わるまで科目Bを待たない
科目Bは短期間の暗記で伸ばしにくいため、学習初期から少量ずつ続ける方が効率的です。擬似言語に慣れるまでに時間がかかる人ほど、早めに開始してください。
3か月で合格を目指す学習プラン
| 期間 | 科目A | 科目B |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | 基礎理論・コンピュータ | 変数・条件分岐・繰返し |
| 3〜4週目 | DB・ネットワーク | 配列・関数 |
| 5〜6週目 | セキュリティ・開発 | 探索・整列 |
| 7〜8週目 | マネジメント・戦略 | スタック・キュー・木・再帰 |
| 9〜10週目 | 分野別問題 | 公開問題・サンプル問題 |
| 11〜12週目 | 弱点補強 | 時間を測って20問演習 |
独学で使う教材の役割
| 教材 | 役割 | 使い方 |
|---|---|---|
| テキスト | 全体像の理解 | 1冊に絞って2周 |
| 科目A問題集 | 知識定着 | 正解理由より誤答理由を確認 |
| 科目B教材 | 擬似言語対策 | 手を動かして処理を追う |
| IPA公開問題 | 本番形式確認 | 年度別に実施 |
| サンプル問題 | 出題形式理解 | 科目Bの構造把握に使用 |
科目A免除制度とは
基本情報技術者試験には、IPAが認定した講座を受講し、修了試験に合格して修了認定を受けることで、科目Aが免除される制度があります。
免除有効期間は、免除有効期間の開始日から1年間です。受験申込み時に適切に免除申請を行うことで、科目Bのみ受験できます。
| 対象 | IPA認定講座の修了認定者 |
|---|---|
| 必要条件 | 認定講座受講+修了試験合格+講座修了 |
| 免除科目 | 科目A |
| 有効期間 | 免除有効期間開始日から1年間 |
| 申請 | FE受験申込み時に免除申請 |
科目A免除=試験全体が簡単になるわけではない
科目Bだけに集中できるメリットは大きい一方、科目Bはアルゴリズム中心です。免除制度を利用する場合でも、擬似言語対策は十分に必要です。
基本情報技術者試験を取得するメリット
基本情報技術者は、資格だけで即戦力を証明するものではありません。しかし、ITエンジニアとして必要な基礎知識を体系的に学んだことを示す材料になります。
| 場面 | 活かし方 |
|---|---|
| 新卒就職 | IT基礎を学んでいることを示す |
| 未経験IT転職 | 学習意欲と基礎知識の証明材料にする |
| 若手エンジニア | 実務知識を体系化する |
| 社内SE | 開発・インフラ・管理を横断して理解する |
| 次の資格 | 応用情報・高度試験への基礎を作る |
取得しても評価されにくいケース
経験豊富なエンジニアが転職する場合、基本情報だけでは大きな差別化にならないことがあります。その場合は、応用情報、高度試験、クラウド、ネットワーク、セキュリティなど、実務分野に合う上位資格を検討する方が効果的です。
基本情報技術者試験に向いている人
| タイプ | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| ITエンジニア志望 | 非常に高い | 技術全般とアルゴリズムを学べる |
| 情報系学生 | 高い | 就職前に基礎力を確認できる |
| 未経験IT転職 | 高い | 学習意欲と基礎知識を示しやすい |
| 非IT職 | 目的次第 | ITパスポートの方が適する場合もある |
| 経験豊富なエンジニア | 低〜中 | 応用情報や専門資格の方が合うことが多い |
ITパスポート・基本情報・応用情報の違い
| 資格 | 主な対象 | 特徴 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| ITパスポート | 社会人・学生全般 | IT・経営を広く学ぶ | 入門 |
| 基本情報技術者 | ITエンジニア志望 | 技術基礎+アルゴリズム | 基礎〜中級 |
| 応用情報技術者 | 中堅IT人材 | 技術・管理・戦略+記述 | 中級〜上級 |
どこから始める?
IT自体が初めてならITパスポートから始めてもよいですが、ITエンジニア志望で学習時間を確保できるなら、最初から基本情報技術者を目指す選択も十分にあります。
基本情報技術者の次に取る資格
| 目標 | 次の資格 | 理由 |
|---|---|---|
| IT全般をさらに深める | 応用情報技術者 | 技術・管理・戦略を一段深く学べる |
| セキュリティ | 情報処理安全確保支援士 | 専門的なセキュリティ知識へ進める |
| ネットワーク | ネットワークスペシャリスト/CCNA等 | ネットワーク専門性を高める |
| クラウド | AWS・Azure等 | 実務サービスと結び付けやすい |
| Linux | LinuC/LPIC/Linux+ | サーバー運用知識を深める |
2026〜2027年度の変更点
2026〜2027年は情報処理技術者試験制度の移行期です。基本情報技術者試験自体は新制度でも継続予定ですが、出題範囲の見直しが行われます。
| 時期 | ポイント |
|---|---|
| 2026年度 | 現行の科目A・科目B方式で実施 |
| 2027年1月以降 | CBTシステムリプレース関連の実施予定を要確認 |
| 2027年度春頃 | 新試験制度へ移行予定 |
| 新制度 | 基本情報技術者試験は継続予定 |
| 科目A免除 | 2027年度新制度でも変更しない予定 |
2027年度受験者は最新シラバスを確認
IPAは新試験制度のシラバスやサンプル問題を公開しています。2026年度用教材を2027年度受験に流用する場合は、出題範囲の差分を確認してください。
基本情報技術者試験のよくある質問
プログラミング未経験でも合格できますか?
可能ですが、科目B対策に時間をかける必要があります。実際に簡単なプログラムを書いた経験があると理解は速くなりますが、特定言語の経験が必須ではありません。
ITパスポートを先に取る必要はありますか?
必須ではありません。ITエンジニアを目指す場合は、最初から基本情報技術者へ挑戦しても問題ありません。
科目Aと科目Bはどちらが難しいですか?
人によります。IT知識が少ない人は科目A、プログラミング経験が少ない人は科目Bで苦戦しやすい傾向があります。
科目BではJavaやPythonが出ますか?
特定の実在言語ではなく、IPAの擬似言語を使います。アルゴリズムやデータ構造を理解することが重要です。
過去問だけで合格できますか?
科目Aでは問題演習が非常に有効ですが、科目Bは処理の意味を理解する必要があります。公開問題・サンプル問題に加え、擬似言語の基礎学習を組み合わせる方が安全です。
独学で合格できますか?
独学でも十分可能です。IPAが公開問題・サンプル問題を提供しており、市販教材も豊富です。科目Bでつまずく場合は動画教材や講座を利用する方法もあります。
合格後に資格の更新は必要ですか?
基本情報技術者試験の合格自体に有効期限はありません。過去の試験制度での合格も無効にはなりません。
一度不合格になったらすぐ再受験できますか?
CBT方式ではリテイクポリシーがあります。前回受験日の翌日から起算して30日を超えた日以降を、次回受験日として指定できます。
基本情報技術者試験のまとめ
基本情報技術者試験は、ITエンジニアとしての基礎を体系的に身につけたい人に向く国家試験です。科目Aの幅広い知識と、科目Bのアルゴリズム・プログラミング対策を並行して進めることが合格のポイントです。取得後は応用情報技術者や、ネットワーク・セキュリティ・クラウドなど専門資格へ進むことで、学習をキャリアに結び付けやすくなります。
情報確認:2026年10月
主な確認先:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「基本情報技術者試験」「基本情報技術者試験 科目Bサンプル問題」「統計情報(基本情報技術者試験)」「試験に関するよくある質問」「2026年5月以降のCBT試験実施について」「試験制度の見直しについて」。
