栄養情報担当者(NR:Nutritional Representative)は、健康食品やサプリメントに関する正確な情報を消費者に提供する専門家です。
国立健康・栄養研究所が認定する資格で、科学的根拠に基づいた情報提供を行うことを目的としています。
■主催
国立健康・栄養研究所
受験資格と難易度
受験資格
栄養情報担当者(NR)の受験には、指定の養成講座を修了することと、下記いずれかの条件に該当することが必要です。
第1号該当者
- 管理栄養士
 - 栄養士
 - 薬剤師
 - 保健師
 - 助産師
 - 看護師
 - 臨床検査技師
 - 医師
 - 歯科医師
 - 獣医師
 
第2号該当者
- 大学または高専で栄養学・薬学・保健学・医学・歯学・獣医学を修了した者
 
第3号該当者
- 大学または高専で食品衛生監視員の資格取得に必要な科目を履修し、畜産学・水産学・農芸化学の課程を修了した者
 
第4号該当者
- 食品衛生監視員養成施設で所定の課程を修了した者
 
第5号該当者
- 上記と同等の外国の資格・学位を有し、研究所理事長が認めた者
 
第6号該当者(一般枠)
- 上記に該当しないが、**「資格確認試験」**に合格した者
 
第6号該当者向けの「資格確認試験」に合格すれば、他の専門資格がなくてもNR試験の受験が可能です。
難易度
合格率の目安
- 過去の合格率はおおむね50〜60%程度
 - 年度により若干の変動あり
 
試験形式と範囲
- 試験時間:120分
 - 試験形式:択一式マークシート
 - 試験範囲(主な出題科目):
- 栄養学、食品学
 - 臨床医学、薬学
 - 健康食品
 - 食品表示・関連法規
 - 食品の安全性と衛生管理
 - NR倫理、科学的根拠に基づく情報提供
 
 
難易度の特徴
- 幅広い分野から出題されるため、過去問や参考書での事前対策が必須
 - 管理栄養士や薬剤師などの有資格者でも、試験に対する明確な準備がないと合格は難しい
 
試験内容
試験概要
- 試験形式:択一式(マークシート)
 - 試験時間:120分
 - 問題数 :約90問
 - 合格基準:非公開(おおむね正答率60〜70%が目安)
 - 実施頻度:年1回(12月頃)
 - 会場例 :関東(東京)、関西(大阪)
 
出題分野(主要11科目)
以下の科目から幅広く出題されます。全科目に満遍なく目を通すことが求められます。1. 栄養・食品学特論
- 栄養素の機能と欠乏症
 - 食品の分類と特徴
 - 栄養摂取基準の理解
 
2. 臨床医学・薬学特論
- 主要な疾患(糖尿病・高血圧など)の基礎知識
 - 薬剤の代謝と作用機序
 - 栄養と医薬品の相互作用
 
3. 健康食品
- 保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)の定義と制度
 - サプリメント成分の作用・注意点
 - 摂取基準・リスク評価
 
4. 食品表示
- 食品表示法と栄養表示基準
 - 機能性表示食品制度の運用
 - 誤認表示・不当表示の禁止規定
 
5. 食品の安全性と衛生管理
- 食品のリスク分析とリスクコミュニケーション
 - 異物混入防止、衛生的取り扱い法
 - 食中毒の原因と予防
 
6. 栄養・食生活、健康食品と生活習慣病
- 栄養と疾病予防の関係
 - サプリメント利用者の生活背景と指導事例
 - 疾患別(肥満・骨粗鬆症など)への栄養対応
 
7. 栄養教育特論
- 行動変容モデル(例:トランスセオレティカルモデル)
 - 対象者別の教育手法
 - 実践的な栄養カウンセリング
 
8. 科学的根拠に基づく栄養実践活動
- エビデンスレベルの評価(RCT・メタ解析など)
 - 科学的文献の読み方・批判的思考法
 - 情報源の信頼性判定
 
9. NR倫理
- 利益相反(COI)の管理
 - 専門職としての責任
 - 消費者への適切な説明義務
 
10. 関連法規
- 健康増進法・食品衛生法・医薬品医療機器法(旧薬事法)との関係
 - 景品表示法に基づく広告表示の規制
 - 保健機能食品制度の根拠法規
 
11. 健康科学・栄養学のトピック
- 食薬区分(医薬品と食品の境界)
 - トランス脂肪酸、カフェイン、多糖類などの科学的解釈
 - メタボリックシンドローム、ロコモ、サルコペニアなど最新テーマ
 
試験対策のポイント
必須教材
- 日本臨床栄養協会編『NR・サプリメントアドバイザー必携(第3版)』
 - 養成講座テキスト(通信教育修了が必須)
 - 過去問題集(公開されている範囲)
 
効果的な学習法
- 出題比重の高い分野(栄養学・健康食品・法規)を中心に反復学習
 - 科目ごとに要点を1枚のまとめノートに整理する
 - 難解な用語や制度(例:保健機能食品の制度設計)は図解で整理
 - 模擬試験や章末問題を時間を測って解く
 
難易度と合格率
- 合格率の目安:50~60%前後(年度により変動あり)
 - 難易度:医療・栄養・薬学分野の専門知識が必要な中〜やや高難度の試験
 
試験対策
試験対策の全体戦略
目標スコアと試験形式の理解
- 試験形式:択一式(マークシート方式)
 - 試験時間:120分/90問前後
 - 合格ライン:正答率60〜70%程度と想定される
 - 出題範囲:栄養・健康食品・法規・臨床など広範囲にわたる
 
科目別対策ポイント
栄養・食品学
- 日本人の食事摂取基準、六大栄養素、栄養機能の基礎を確実に
 - 欠乏症や過剰摂取によるリスク(ビタミンA、亜鉛、鉄など)を押さえる
 - 食品群別の栄養価と用途も確認しておく
 
健康食品と表示制度
- 特定保健用食品・機能性表示食品・栄養機能食品の違いを明確に
 - 表示に関する制度や記載可能な内容、禁止表現の整理
 - サプリメントの代表成分(EPA、グルコサミンなど)と機能の把握
 
関連法規と食品安全
- 食品表示法、食品衛生法、健康増進法の目的と対象を区別
 - 広告規制(景品表示法)やエビデンスに基づかない表示の問題点も出題されやすい
 - HACCP、リスク評価(リスク分析三要素)も重要トピック
 
臨床医学・薬理学
- 栄養と関連深い疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常症、骨粗しょう症)を中心に学習
 - 薬剤と栄養素の相互作用の代表例を整理(ワルファリン×ビタミンKなど)
 
使用すべき教材と資料
必須教材
- 日本臨床栄養協会発行『NR・サプリメントアドバイザー必携 第3版』
 - 通信教育テキスト(養成講座受講者に配布)
 - NR資格取得者が公開している過去問やブログ情報(信頼性の高いもの)
 
補助教材
- 『栄養学総論』、『臨床栄養学』などの基礎教科書
 - 消費者庁・厚労省のリーフレット類(保健機能食品・栄養表示関連)
 
学習スケジュール例(3か月前スタート想定)
| 時期 | 学習内容 | 
|---|---|
| 3か月前 | 通信教育教材を一巡、必携テキストを章ごとに精読 | 
| 2か月前 | 過去問演習、苦手分野の復習(週に3科目以上をローテーション) | 
| 1か月前 | 模擬問題・章末問題でアウトプット訓練、法規系の再確認 | 
| 試験1週間前 | 全体復習+よく出るポイント整理ノートで最終チェック | 
合格のための学習戦略
理解優先・暗記は後
- 法規や数値系は暗記必須だが、それ以外は**なぜそうなるか?**を理解する
 - 成分や作用を機能性分類ごとにまとめて覚える(例:抗酸化、整腸、骨サポート)
 
分野別にノートをまとめる
- 自作の「出題頻出テーマまとめノート」は復習時に非常に有効
 - 例:「サプリメント成分別まとめ」「制度・法規早見表」「疾患別栄養戦略」など
 
模擬問題は実戦形式で解く
- 時間を測って90分で解く練習を数回行う
 - わからなかった問題を分類して原因分析し、次に活かす
 
注意すべき出題傾向
- 「一見正しそうで実は誤り」の問題が多い(制度名や数字に注意)
 - 実務を意識した「現場的な判断力」が問われる設問もある
 - 科学的根拠(エビデンス)を扱う問題では文献レベル(RCT、メタ解析など)にも触れる
 
取得後に出来ること
健康食品・栄養食品の分野において科学的根拠に基づいた正しい情報提供・啓発活動ができる専門家として認定されます。1. 健康食品・サプリメントの適正使用を指導できる
消費者への相談対応
- サプリメントの成分情報、期待される効果、摂取目安、注意点などを科学的に説明
 - 健康食品の誤認・過剰摂取・健康被害リスクを防止する啓発が可能
 - 他の薬や医療機関との併用の注意点なども根拠をもって助言できる
 
例:店頭での対応
- 「高血圧の方向け」とされるサプリがあった場合、その表示が合法か、成分にエビデンスがあるかを判断
 - 効果を過剰に期待する顧客に対し、中立的かつ安全な説明ができる
 
2. 医療・薬局・栄養指導現場で活用できる
医療・栄養の補完業務として
- 管理栄養士や薬剤師のスキルをサプリメント対応領域に拡張できる
 - 医療機関での健康食品に関する相談窓口担当や臨床支援業務にも活用可能
 
連携のイメージ
- 医師・管理栄養士・NRによるチームアプローチでの生活習慣病指導
 - 誤情報を信じる患者に対し、論拠ある栄養情報でのカウンセリングを実施
 
3. 食品・製薬・健康関連業界での専門職として活躍
食品・サプリメントメーカーでの役割
- 商品開発部門での成分の機能性評価・表示内容チェック
 - 営業部門や広報部門における科学的根拠に基づく情報発信の監修
 - クレーム対応・薬機法・景表法対応のアドバイスを担う
 
商品・広告に対する判断ができる
- 「便通改善に効果あり」などの表現の是非を判断できる能力
 - パンフレットやWebサイトの記述内容が法令や栄養学的に適切かを精査
 
4. 公的機関・教育・普及活動での講師・解説者として活動
地域保健や自治体の健康事業に参加
- 特定健診後の食生活支援や市民向けセミナーでの講師活動
 - 保健所や自治体での消費者啓発チラシ作成・監修にも活用されている
 
メディア・教育現場での活用
- テレビ、雑誌、Web記事などでの栄養情報監修・コメント提供
 - 栄養士養成校や大学などでの非常勤講師・講演依頼の実績もあり
 
5. 自主事業・資格講座講師・コンサルタントとして活用
独立系NRの展開例
- オンラインサロンやセミナー講師としてサプリメント相談・勉強会の主催
 - 法人向け栄養教育プログラムの設計・監修
 - 健康食品メーカーとの商品開発コンサルタントとして活動
 
活躍フィールドまとめ
| 分野 | 活動内容 | 
|---|---|
| 医療・保健 | 栄養相談、サプリ指導、チーム医療連携 | 
| 小売・薬局 | 健康食品販売時の適正指導・教育 | 
| 食品・製薬 | 成分監修、広告監修、法令対応 | 
| 公共・行政 | 啓発事業、パンフレット制作、地域講師 | 
| 教育・講演 | 栄養学講義、メディア取材、記事監修 | 
その他医療系資格一覧
臨床心理士
精神対話士
生きがい情報士
認定心理カウンセラー
メンタルケア心理士認定試験
産業カウンセラー
メンタルヘルス・マネジメント検定試験
離婚カウンセラー
コンディショニングコーチ
肥満予防健康管理士
ヘルスケアアドバイザー
栄養情報担当者(NR)
運動療法士
			
			
	