目の機能(視力・視野・眼球運動など)を評価し、視覚障害や眼疾患のリハビリテーションを行う専門職 です。
医師の指示のもと、視力検査や斜視・弱視の訓練、視野検査などを行い、患者の視機能を向上させる役割を担います。
視能訓練士の主な役割
- 視力・視野・眼球運動の検査(眼科での視機能評価)
- 斜視・弱視の訓練(子どもや成人のリハビリテーション)
- 眼疾患(白内障・緑内障など)の検査補助
- 眼鏡・コンタクトレンズ処方のための検査補助
- 視覚リハビリテーション(高齢者・視覚障害者の生活支援)
目次
受験資格と難易度
1. 受験資格
視能訓練士国家試験を受験するためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
① 視能訓練士養成課程を修了する
- 文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した視能訓練士養成施設(大学・短大・専門学校) で3年以上の課程を修了すること。
- 2024年4月以降に入学した人は、「学士」または「専門士(視能訓練)」の称号を取得することが必須。
② 海外で視能訓練士の資格を取得し、厚生労働大臣の認定を受ける
- 日本以外の国で視能訓練士の資格を取得し、日本の基準に適合すると認められた場合、受験資格が得られる。
2. 試験の難易度
視能訓練士国家試験の難易度は中程度とされ、しっかりと対策をすれば合格できるレベルです。
① 合格率
- 約85~95%(年度によって変動)
- 他の医療系国家資格と比較すると合格率は高め
② 出題範囲と難易度
- 基礎医学(解剖学・生理学・眼科学)が重要
- 視能検査やリハビリテーションの知識が必須
- 近年は臨床応用問題が増加傾向
③ 合格基準
- 総得点の60%以上(年度によって変動)
- 必修問題は80%以上の正答が必要(30問中24問以上)
注意点:試験範囲が専門的なため、基礎医学(解剖・生理・病理)や視能学の徹底理解が必要 となります。
試験内容
1. 試験概要
- 試験形式:五肢択一のマークシート方式
- 試験時間:午前・午後の2部構成
- 合格基準:
- 必修問題の得点率80%以上(30問中24問以上)
- 総合得点の60%以上
2. 試験科目と出題範囲
① 必修問題(30問)
- 基礎的な視能訓練士の知識を問う問題
- 80%以上の正答が必要(30問中24問以上)
主な出題内容:
- 視能訓練士の基本理念・倫理
- 眼球の解剖・生理(眼の構造と機能)
- 眼疾患の基礎知識(白内障、緑内障、網膜疾患など)
- 視機能検査の基本(視力・視野・眼位・眼球運動)
- 医療安全・医療倫理・関連法規(医療法、視能訓練士法など)
② 一般問題(170問)
- 基礎から臨床応用までの知識が問われる
- 視能検査・眼科学・視覚リハビリテーションなど幅広い分野
1. 基礎医学(解剖学・生理学・病理学など)
- 眼球の構造・機能(角膜・水晶体・網膜・視神経など)
- 光の屈折と調節機能(遠視・近視・乱視・調節機能)
- 眼球運動と視覚伝導路(眼筋・神経支配・大脳皮質視覚野)
2. 視機能検査(視力・視野・眼位・眼球運動など)
- 視力検査(裸眼視力・矯正視力・視力測定法)
- 屈折検査(オートレフラクトメーター、レンズの処方)
- 視野検査(ゴールドマン視野計、ハンフリー視野計など)
- 眼位検査・眼球運動検査(カバーテスト・ヘススクリーン)
3. 眼科学(疾患・治療法)
- 屈折異常(近視・遠視・乱視・調節異常)
- 眼疾患(白内障・緑内障・糖尿病網膜症・黄斑変性)
- 眼外傷・視神経疾患(視神経炎、視神経萎縮)
4. 視能訓練学(リハビリテーション)
- 斜視・弱視の訓練(アイパッチ法・両眼視機能訓練)
- 視覚リハビリテーション(視覚障害者の訓練・生活支援)
- 高齢者の視機能低下への対応(ロービジョンケア)
5. 医療制度・法律・倫理
- 視能訓練士法・医療法・障害者総合支援法
- チーム医療における視能訓練士の役割
- 医療安全・個人情報保護・インフォームドコンセント
3. 合格基準
- 総合点の60%以上 の正答が必要(年度によって変動)
- 必修問題は80%以上の正答(30問中24問以上)
試験対策
1. 効果的な学習方法
① 基礎固め(6~4ヶ月前)
- 教科書・参考書を読み込み、重要ポイントを整理
- 眼の解剖・生理・病理を重点的に学習
- 視能検査の原理と方法を理解
- 検査の目的・測定方法・評価基準を整理
- 視能訓練(弱視・斜視のリハビリ方法)を整理
- 訓練法とその適応疾患を理解
- 医療制度・法律はまとめノートを作る
- 視能訓練士法・医療法・障害者支援法など
② 過去問演習(3~2ヶ月前)
- 最低5年分の過去問を解く
- 「なぜこの答えになるのか?」を理解しながら学習
- 頻出問題を重点的に対策
- 繰り返し出題されるテーマを優先
- 間違えた問題をノートにまとめる
- 弱点を可視化し、集中的に復習
③ 実践力をつける(1ヶ月前~)
- 時間を計って模試形式で演習
- 本番と同じ環境で解く
- 間違えた問題をリスト化し、最後まで克服する
2. 必修問題対策(合格ライン80%以上)
- 基礎医学(解剖・生理・病理)を重点的に学習
- 視能検査の目的・手順・評価基準を正確に覚える
- 法律・倫理問題は一問一答形式で対策
3. おすすめの教材・勉強法
① 教科書・参考書
- 「視能訓練学シリーズ」(医学書院)
- 「視能訓練士国家試験対策問題集」(医歯薬出版)
② 過去問・問題集
- 厚生労働省の公式過去問サイト
- 「視能訓練士国家試験 過去問題5年分解説」(中央法規)
③ スマホアプリ・オンライン学習
- 視能訓練士国家試験対策アプリ(過去問演習に便利)
- YouTubeの視能訓練士向け講義動画(視覚的に理解しやすい)
取得後に出来ること
1. 医療分野での活躍
① 眼科クリニック・病院での視機能検査
- 視力・視野・屈折検査
- 眼位・眼球運動検査(斜視・弱視の評価)
- 白内障・緑内障などの眼疾患に関する視機能検査
- コンタクトレンズや眼鏡処方のための検査補助
② 斜視・弱視の訓練
- 乳幼児や小児の視機能発達をサポート
- アイパッチ法や両眼視訓練を用いたリハビリ
- 手術後のリハビリ支援
③ 視覚障害者のリハビリテーション
- 視野障害・ロービジョン患者への日常生活支援
- 拡大読書器や遮光眼鏡の使用指導
- 在宅や施設での視覚リハビリ指導
2. 福祉・教育分野での活躍
① 特別支援学校や福祉施設
- 視覚障害児・発達障害児の視機能トレーニング
- 生活に適した補助具の選定・指導
② 高齢者の視機能サポート
- 視覚障害を持つ高齢者のリハビリ指導
- 介護施設での視覚ケア
3. 企業・研究分野での活躍
① 医療機器メーカー・眼鏡メーカー
- 眼科検査機器・視力測定機器の開発・販売・技術指導
- 眼鏡・コンタクトレンズの研究・開発
② 企業の健康管理部門
- 労働者の眼精疲労・視力低下予防の指導
4. キャリアアップ・資格の活用
① 認定視能訓練士
- 専門分野を深め、「認定視能訓練士」 として高度な専門職に進む
② 大学院進学・研究
- 大学院に進学し、視覚科学やリハビリテーション研究に携わる
- 大学や専門学校の教員として次世代の視能訓練士を育成