アクチュアリー資格試験は、公益社団法人日本アクチュアリー会が実施する、保険・年金・リスク管理などの分野で必要となる数理・金融・会計・実務知識を評価する専門資格試験です。
2026年度はCBT方式で実施され、第1次試験5科目と、第2次試験の専門科目2科目で構成されています。日本で一般に「アクチュアリー」と呼ばれる日本アクチュアリー会の正会員になるには、全科目合格に加えて、プロフェッショナリズム研修と特定分野研修の受講が必要です。
難易度は非常に高く、2025年度の科目別合格率は第1次試験で19.4~45.3%、第2次試験で17.7~27.1%でした。また、日本アクチュアリー会によると、過去5年間の実績に基づく正会員資格取得までの平均年数は9.0年です。
アクチュアリー資格試験を30秒で確認
- 実施:公益社団法人 日本アクチュアリー会
- 2026年度試験:2026年12月7日~10日
- 試験方式:CBT
- 第1次試験:数学・生保数理・損保数理・年金数理・会計・経済・投資理論
- 第2次試験:生保・損保・年金から1コース選択、2科目
- 第1次受験資格:2026年3月31日時点で満18歳以上
- 第2次受験資格:第1次5科目合格済みの準会員
- 受験料:1科目8,500円
- 試験時間:各科目180分
- 合格基準:原則60%を基準に試験委員会が決定
- 2025年度第1次合格率:19.4~45.3%
- 2025年度第2次合格率:17.7~27.1%
- 重要変更:2027年度から第1次試験・研修制度を改正
| 資格・試験名 | アクチュアリー資格試験 |
|---|---|
| 実施団体 | 公益社団法人 日本アクチュアリー会 |
| 試験区分 | 第1次試験(基礎科目)・第2次試験(専門科目) |
| 試験方式 | CBT |
| 実施時期 | 年1回、12月 |
| 受験料 | 1科目8,500円 |
| 主な活躍分野 | 生命保険、損害保険、年金、リスク管理、金融、コンサルティングなど |
アクチュアリー資格試験とは
アクチュアリーは、確率・統計・金融数学・保険数理などを用いて、将来の不確実性やリスクを定量的に分析する専門職です。代表的な活躍分野は生命保険、損害保険、年金ですが、近年はERM、金融リスク、データ分析などにも領域が広がっています。
日本では、日本アクチュアリー会が実施する資格試験の全科目に合格し、所定研修を修了して正会員として承認されることが、一般的な資格取得ルートです。
試験合格だけで正会員になるわけではありません。
全科目合格に加えて、プロフェッショナリズム研修(初期教育)と特定分野研修(初期教育)の受講が必要です。
2026年の受験資格
第1次試験
2026年3月31日時点で満18歳以上の人が受験できます。旧記事にある「誰でも制限なく受験できる」という説明は、2026年度要領とは一致しません。
第2次試験
第1次試験5科目すべてに合格し、日本アクチュアリー会の準会員となった人が受験できます。
第2次試験は、第1次の未合格科目を残したまま受験できません。
まず5科目すべてに合格し、準会員資格を得る必要があります。
第1次試験の科目
| 科目 | 主な内容 |
|---|---|
| 数学 | 確率・統計・モデリング等 |
| 生保数理 | 生命保険の保険料・責任準備金等 |
| 損保数理 | 損害保険の料率・損害モデル等 |
| 年金数理 | 年金制度・年金財政・年金数理等 |
| 会計・経済・投資理論 | 会計、経済学、投資理論 |
第1次試験は、第2次試験を受けるための基礎知識を確認する位置づけで、2026年度はすべて多肢選択式です。
第2次試験の科目
第2次試験では、生保・損保・年金の3コースから1つを選択します。
| コース | 科目 |
|---|---|
| 生保コース | 生保1・生保2 |
| 損保コース | 損保1・損保2 |
| 年金コース | 年金1・年金2 |
第2次試験は専門知識だけでなく問題解決能力を問う試験で、第Ⅰ部と第Ⅱ部から構成されます。全体の約5割が専門知識、残り約5割が実務上の問題解決能力を確認する内容です。
2026年度の試験日程
| 日程 | 午前 | 午後 |
|---|---|---|
| 12月7日 | 生保1・損保1・年金1 | 損保数理 |
| 12月8日 | 生保2・損保2・年金2 | 生保数理 |
| 12月9日 | 年金数理 | 数学 |
| 12月10日 | — | 会計・経済・投資理論 |
各科目の試験時間は180分です。2026年度の申込期間は9月16日10時から10月14日18時までです。
試験会場
2026年度はCBT方式で実施されます。第1次試験は首都圏のほか、札幌、仙台、名古屋、京都、大阪、福岡などでも実施されます。第2次試験は首都圏と大阪の会場が中心です。
申込・会場予約はプロメトリックを通じて行います。
受験料
2026年度の受験料は、1科目8,500円です。
| 受験例 | 受験料 |
|---|---|
| 1科目 | 8,500円 |
| 第1次5科目をすべて受験 | 42,500円 |
| 第2次2科目 | 17,000円 |
合格基準
第1次試験
各科目について、満点の60%を基準として試験委員会が相当と認めた得点以上が合格です。
「会計・経済・投資理論」では、総合点だけでなく、会計・経済・投資理論のいずれか1分野でも最低ラインに達しない場合は不合格となります。最低ラインは各分野満点の40%を基準に試験委員会が決定します。
第2次試験
各科目について、満点の60%を基準として試験委員会が相当と認めた得点以上が合格です。
さらに、第Ⅰ部は満点の60%、第Ⅱ部は満点の40%を基準とした最低ラインがあり、いずれかを下回ると総合点が合格基準を超えていても不合格になります。
2025年度の合格率
| 区分 | 科目 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 第1次 | 数学 | 864人 | 260人 | 30.1% |
| 第1次 | 生保数理 | 480人 | 141人 | 29.4% |
| 第1次 | 損保数理 | 570人 | 148人 | 26.0% |
| 第1次 | 年金数理 | 310人 | 60人 | 19.4% |
| 第1次 | 会計・経済・投資理論 | 636人 | 288人 | 45.3% |
| 第2次 | 生保1 | 339人 | 60人 | 17.7% |
| 第2次 | 生保2 | 356人 | 63人 | 17.7% |
| 第2次 | 損保1 | 135人 | 24人 | 17.8% |
| 第2次 | 損保2 | 107人 | 23人 | 21.5% |
| 第2次 | 年金1 | 58人 | 11人 | 19.0% |
| 第2次 | 年金2 | 59人 | 16人 | 27.1% |
第1次・第2次とも、科目によって合格率が大きく異なります。単純に「アクチュアリー試験の合格率は○%」と一つの数字にまとめるのは適切ではありません。
アクチュアリー試験の難易度
日本アクチュアリー会によると、全科目合格には最短でも2年必要で、過去5年間の実績では正会員資格取得まで平均9.0年かかっています。
| 難しいポイント | 理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 数学 | 確率・統計を高い精度で使う | 大学数学の基礎から演習 |
| 保険数理 | 公式暗記では対応しにくい | 導出と意味を理解 |
| 複数年受験 | 科目数が多い | 年度単位の受験計画を作る |
| 第2次 | 論述・実務判断が必要 | 専門知識+時事・実務を学ぶ |
| 制度変更 | 2027年度から第1次制度変更 | 既合格科目の移行措置を確認 |
勉強時間
日本アクチュアリー会は、合格に必要な標準学習時間を公表していません。以下は当サイトの目安です。
| 受験者タイプ | 1科目あたりの目安 | 重点 |
|---|---|---|
| 大学数学に不慣れ | 300~500時間 | 微積・確率・統計の基礎 |
| 数学・統計系出身 | 200~350時間 | 保険数理・制度知識 |
| 保険・年金実務経験あり | 180~300時間 | 理論整理・過去問 |
| 第2次受験者 | 250~450時間 | 専門知識・論述・時事 |
「全7科目で合計○時間」と単純計算しない方がよいでしょう。
科目間で難易度・得意不得意が大きく異なり、正会員まで複数年かける受験者が一般的です。
勉強方法
1. 数学の基礎を固める
確率・統計・微積分の基礎が弱い場合、いきなり保険数理へ進まず大学レベルの数学を復習します。
2. 教科書範囲を丁寧に理解する
第1次試験は教科書範囲に限定されます。定義・公式・定理の意味を理解し、導出も追います。
3. 過去問で計算速度を上げる
3時間の試験で大量の計算を処理するため、時間を測って解く練習が重要です。
4. 科目ごとに弱点を記録する
単元別に正答率を記録し、毎年の受験科目数を無理なく設定します。
5. 第2次では実務・時事を読む
保険・年金制度、会計・規制、商品・リスク管理などの実務テーマを日常的に追います。
6. 論述答案を実際に書く
第2次は知識を持っているだけでは不十分です。論点、根拠、結論を短時間でまとめる訓練が必要です。
受験スケジュールの考え方
| 段階 | 目安 | 目標 |
|---|---|---|
| 1年目 | 第1次1~2科目 | 数学・数理系の基礎確立 |
| 2~4年目 | 第1次残り科目 | 5科目合格・準会員 |
| 以後 | 第2次専門科目 | 選択コース2科目合格 |
| 全科目合格後 | 所定研修 | 正会員承認 |
これは一例です。2027年度に制度変更があるため、2026年度受験者は移行措置を確認しながら計画してください。
不合格になりやすい原因
| 失敗 | 原因 | 改善 |
|---|---|---|
| 公式を丸暗記 | 応用問題に対応できない | 導出と前提条件を理解 |
| 過去問開始が遅い | 3時間で解き切れない | 早期から時間制限演習 |
| 多数科目を同時受験 | 学習が分散 | 現実的な科目数に絞る |
| 第2次で知識だけ学ぶ | 論述・問題解決能力不足 | 答案作成を反復 |
| 2027年制度変更を確認しない | 既合格科目の扱いを誤る | 公式の移行表を確認 |
取得するメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 高度な数理知識を証明 | 保険・年金・金融リスクの専門性を体系化 |
| 保険会社で活かせる | 保険料率、責任準備金、商品開発等 |
| 年金分野 | 退職給付・年金財政・制度設計 |
| リスク管理 | ERM・資本管理・リスク計量 |
| 専門職キャリア | 数理・金融の長期的な専門キャリアにつながる |
正会員になれば必ず高年収・転職成功が保証されるわけではありません。
実務経験、担当分野、企業、英語力、データ分析力などもキャリアに大きく影響します。
活かせる仕事
| 分野 | 主な仕事 |
|---|---|
| 生命保険 | 商品開発、保険料率、責任準備金、決算 |
| 損害保険 | 料率算定、損害分析、リスクモデル |
| 年金 | 年金数理、制度設計、退職給付 |
| リスク管理 | ERM、経済価値、資本管理 |
| コンサルティング | 保険・年金・リスクに関する助言 |
| 金融・データ分析 | リスク計量、モデル、分析 |
会員資格の違い
| 会員資格 | 条件 |
|---|---|
| 研究会員 | 第1次試験1科目以上に合格し、理事会承認 |
| 準会員 | 第1次試験5科目すべてに合格し、理事会承認 |
| 正会員 | 第2次まで全科目合格+所定研修修了+理事会承認 |
2027年度からの制度変更
日本アクチュアリー会は、2027年度以降に第1次試験と研修制度を見直すと発表しています。
主な変更は、従来研修で扱っていた金融システムやアクチュアリアルリスクマネジメントの内容を第1次試験へ取り込むことです。
| 2026年度以前 | 2027年度以降の扱い |
|---|---|
| 数学 | 数学 |
| 生保数理+年金数理 | 専門数理1 |
| 損保数理 | 専門数理2 |
| 会計・経済・投資理論+特定分野2研修 | 会計・経済・金融システム+リスクマネジメント・投資理論 |
生保数理または年金数理の片方だけ合格している人は特に注意してください。
2026年度までに両方へ合格しなかった場合、2027年度以降に「専門数理1」の受験が必要になります。
FAQ
高校生でも受験できますか?
2026年度は2026年3月31日時点で満18歳以上である必要があります。
第1次試験は何科目ですか?
数学、生保数理、損保数理、年金数理、会計・経済・投資理論の5科目です。
第2次試験は何科目ですか?
生保・損保・年金のいずれか1コースを選び、2科目に合格します。
受験料はいくらですか?
2026年度は1科目8,500円です。
試験時間は?
各科目180分です。
合格点は60点ですか?
満点の60%を基準として試験委員会が合格基準点を決定します。固定で必ず60点とは限りません。
合格率はどのくらいですか?
2025年度は、第1次試験で19.4~45.3%、第2次試験で17.7~27.1%でした。
何年で正会員になれますか?
制度上の最短は2年ですが、日本アクチュアリー会による過去5年間の平均は9.0年です。
独学できますか?
独学自体は可能ですが、長期戦になりやすく、大学数学・保険数理・論述まで幅広い対策が必要です。勤務先の研修や勉強会を利用する人も多い資格です。
2027年から試験は変わりますか?
はい。第1次試験と研修の組み替えが予定されています。2026年度までの既合格科目には移行措置があります。
アクチュアリー資格試験のまとめ
アクチュアリー資格試験は、日本アクチュアリー会が実施する高度な数理・保険・年金・金融の専門資格試験です。2026年度はCBT方式で12月7日~10日に実施され、第1次5科目、第2次2科目で構成されます。受験料は1科目8,500円、各科目180分です。2025年度の合格率は第1次19.4~45.3%、第2次17.7~27.1%で、正会員資格取得までの過去5年間の平均は9.0年でした。2027年度から制度改正が予定されているため、2026年度受験者は既合格科目の移行措置も確認して学習計画を立てる必要があります。
情報確認:2026年10月
主な確認先:公益社団法人日本アクチュアリー会「2026年度 資格試験要領」「資格試験情報」「受験に関するFAQ」「アクチュアリーになるには」「2025年度資格試験結果について」「資格試験・研修制度の見直しについて」。
公式情報:日本アクチュアリー会 資格試験情報
