速記技能検定は、公益社団法人日本速記協会が実施する、話された内容を速記し、その記録を正確な日本語文章へ「反訳」する技能を測る検定です。6級から1級まであり、入門者向けの個人利用レベルから、会議・座談・講演を単独で記録できる専門級まで段階的に設定されています。
速記は、単に速く文字を書く技術ではありません。音声を聞き取り、速記符号などで記録し、その記録を読み解いて通常の日本語文章へ戻すまでが一連の技能です。そのため、検定では書き取り速度だけでなく、反訳の正確さ、漢字・仮名遣い、読みやすい文章として再現できるかまで評価されます。
速記技能検定を30秒で確認
- 実施団体:公益社団法人 日本速記協会
- 級:1級~6級
- 受検資格:制限なし
- 試験内容:朗読された文章を速記し、普通文字に反訳
- 1級:分速320字×10分、正確度98%以上
- 2級:分速280字×10分、正確度98%以上
- 3級:分速240字×5分、正確度97%以上
- 4級:分速180字×5分、正確度97%以上
- 5級:分速120字×5分、正確度96%以上
- 6級:分速80字×5分、正確度96%以上
- 次回第235回:2026年11月29日
- 第235回申込期間:2026年10月1日~11月10日
| 資格名 | 速記技能検定 |
|---|---|
| 実施団体 | 公益社団法人 日本速記協会 |
| 資格区分 | 民間検定 |
| 級 | 1級・2級・3級・4級・5級・6級 |
| 受検資格 | 制限なし |
| 試験方式 | 朗読音声の速記+反訳 |
| 使用手段 | 手書き、パソコン等による受検制度あり |
| 主な対象 | 速記学習者、議事録・記録業務に関心がある人、速記技能を証明したい人 |
速記技能検定とは
速記技能検定は、朗読された文章をどれだけ速く、正確に記録し、その内容を忠実に普通文字へ戻せるかを審査する試験です。
速記というと「特殊な符号を覚える資格」と考えられがちですが、検定で最終的に評価されるのは速記符号そのものではありません。問題文の内容をどれだけ正確に文章へ復元できたかが重要です。
速記符号の形そのものを採点する試験ではない
受検者は朗読音声を速記し、その記録を読み解いて原稿用紙などに反訳します。速記符号は自分が読めればよく、最終的な反訳文の正確さが採点対象になります。
各級のレベル
| 級 | 位置づけ | 朗読速度 | 朗読時間 | 総字数 | 正確度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1級 | 専門級 | 分速320字 | 10分 | 3,200字 | 98%以上 |
| 2級 | 専門級 | 分速280字 | 10分 | 2,800字 | 98%以上 |
| 3級 | 事務級 | 分速240字 | 5分 | 1,200字 | 97%以上 |
| 4級 | 事務級 | 分速180字 | 5分 | 900字 | 97%以上 |
| 5級 | 個人利用級 | 分速120字 | 5分 | 600字 | 96%以上 |
| 6級 | 個人利用級 | 分速80字 | 5分 | 400字 | 96%以上 |
1級
会議・座談・講演などを単独で速記できるレベルです。分速320字の朗読を10分間記録し、130分以内に反訳します。正確度98%以上が必要で、許容失点は64字です。
2級
会議・座談・講演などの速記を補佐できるレベルです。分速280字を10分間、総字数2,800字。反訳時間は130分で、正確度98%以上、許容失点56字です。
3級
口述や電話などの速記ができ、反訳を補助できるレベルです。分速240字を5分間記録し、60分以内に反訳します。正確度97%以上、許容失点36字です。
4級
平易な口述や草稿を速記できる事務級です。分速180字を5分間、総字数900字。正確度97%以上、許容失点27字です。
5級
ノートやメモなどに速記を利用できるレベルです。分速120字を5分間、正確度96%以上、許容失点24字です。
6級
普通文字より速く書くことができる入門レベルです。分速80字を5分間、正確度96%以上、許容失点16字です。
2026年度の試験日程
日本速記協会では、原則として2月・5月・8月・11月に検定を実施しています。2026年10月4日時点で次回は第235回です。
| 試験回 | 第235回 |
|---|---|
| 試験日 | 2026年11月29日(日) |
| 申込期間 | 2026年10月1日~11月10日 |
| 実施級 | 1級~6級 |
| 主な試験地 | 東京・名古屋・大阪・佐賀・鹿児島 |
| 合否通知 | 試験日から約1か月後 |
東京・大阪会場では午前・午後に級を分けて実施し、条件によってダブル受検も可能です。会場や開始時刻は受検回によって変わるため、受検票と公式案内を必ず確認してください。
受検料
| 級 | 受検料 |
|---|---|
| 1級 | 6,000円 |
| 2級 | 5,000円 |
| 3級 | 4,000円 |
| 4級 | 3,000円 |
| 5級 | 2,500円 |
| 6級 | 2,000円 |
試験の流れ
- 問題文の朗読を聞く
級ごとに決められた速度で問題文が朗読されます。 - 速記する
速記符号や許可された方法を使って内容を書き取ります。 - 反訳する
記録した内容を読み解き、普通の日本語文章へ戻します。 - 答案を提出する
反訳文の誤字・脱字・余分な字・未訳などが採点されます。
「反訳」が速記技能検定の核心
どれだけ速く書けても、自分の速記符号を読み返せなければ得点になりません。速記練習と同じくらい、反訳練習が重要です。
採点基準と合格条件
採点では、誤字、脱字、余分な字、判読できない字、同音異字などが原則として1字1失点になります。誤訳・脱訳・未訳は、訂正に必要な字数に応じて失点します。
| 級 | 反訳時間 | 正確度 | 許容失点 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 130分 | 98%以上 | 64字 |
| 2級 | 130分 | 98%以上 | 56字 |
| 3級 | 60分 | 97%以上 | 36字 |
| 4級 | 60分 | 97%以上 | 27字 |
| 5級 | 60分 | 96%以上 | 24字 |
| 6級 | 60分 | 96%以上 | 16字 |
読めない普通文字も失点になる
内容が合っていても、反訳した文字が判読できない場合は失点になります。速記部分だけでなく、提出する反訳文を読みやすく正確に仕上げる必要があります。
パソコンやIBT方式でも受検できる
速記技能検定では、2018年1月以降、パソコンなどの機器を使用した受検が可能になっています。使用できるのは、パソコン、または速記タイプにパソコンを接続したものなどです。
また、2月の検定では3~6級を対象としたIBT型(オンライン方式)が実施されています。第232回(2026年2月22日)からは、IBT方式に限ってタブレットの使用も可能になりました。
| 方式 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 会場型・手書き | 1~6級 | 速記用紙等を使って受検 |
| 会場型・PC等 | 条件を満たす級・会場 | パソコン等を自分で準備 |
| IBT型 | 主に2月の3~6級 | オンライン方式。手書き答案は試験後に郵送 |
速記技能検定で苦戦しやすいポイント
| ポイント | 難しい理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 朗読速度についていく | 一度遅れると、その後の文章も連続して落としやすい | 級の速度より少し遅い音声から段階的に上げる |
| 速記符号の定着 | 考えてから書くと速度が出ない | 基本符号を反射的に書けるまで反復する |
| 反訳 | 書いた直後は読めても時間が経つと読めないことがある | 速記直後だけでなく時間を空けて反訳する |
| 数字・固有名詞 | 聞き慣れない語は記録が崩れやすい | ニュースや時事文章で練習する |
| 上級の長時間記録 | 1・2級は10分間集中を維持する必要がある | 短時間練習から5分、10分へ伸ばす |
難易度・合格率
速記技能検定は、級が上がるほど要求速度と正確度が高くなり、特に1・2級では専門級として非常に高い技能が必要です。
2026年10月4日時点で、2026年度の級別年間合格率について最新の確定公式集計は確認できませんでした。そのため、当サイトでは2026年度の合格率を推測して掲載しません。
参考として、日本速記協会が公表している年度事業報告のうち確認できる公式集計では、令和5年度の合格率は以下のとおりです。
| 級 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 14人 | 1人 | 7.1% |
| 2級 | 12人 | 3人 | 25.0% |
| 3級 | 54人 | 8人 | 14.8% |
| 4級 | 49人 | 12人 | 24.5% |
| 5級 | 45人 | 21人 | 46.7% |
| 6級 | 18人 | 12人 | 66.7% |
| 全体 | 192人 | 57人 | 29.7% |
この表は2026年度の合格率ではありません
上表は日本速記協会の令和5年度事業報告で確認できる公式実績です。受検者数が多くない級もあり、年度ごとの変動も大きくなりやすいため、現在の難易度を合格率だけで判断しないでください。
勉強時間の目安
日本速記協会は、各級合格までに必要な標準学習時間を公表していません。以下は当サイトが学習計画を立てるための目安です。
| 目標 | 学習時間の目安 | 重点 |
|---|---|---|
| 6級 | 30~80時間 | 基本符号、分速80字、反訳 |
| 5級 | 80~150時間 | 分速120字への速度向上 |
| 4級 | 150~300時間 | 分速180字、反訳精度97% |
| 3級 | 300~500時間以上 | 分速240字、実用的な速記 |
| 2級 | 長期継続学習が必要 | 10分間・分速280字・98% |
| 1級 | 長期の専門訓練が必要 | 10分間・分速320字・98% |
速記は知識試験ではなく技能試験なので、短期間に暗記して合格するタイプの資格ではありません。特に3級以上は、日常的な反復練習が重要です。
速記技能検定の勉強方法
- 速記方式を決める
教材や学習環境を確認し、自分が継続して使う速記方式を選びます。 - 基本符号を反射的に書けるまで練習する
見て思い出す段階では速度が出ません。音と符号を直接結び付けます。 - 低速音声で正確に書く
最初から速度を追わず、取りこぼしを減らします。 - 毎回必ず反訳する
速記だけして終わらず、自分の記録を普通文字に戻します。 - 目標級の80~90%速度へ上げる
安定してから本番速度へ近づけます。 - 公式過去問・朗読音声で本番練習する
実際の問題量、話題、速度に慣れます。
3か月の学習スケジュール例(6級~5級)
| 期間 | 学習内容 | 到達目標 |
|---|---|---|
| 1~2週目 | 基本符号 | 主要な音を迷わず書ける |
| 3~4週目 | 単語・短文 | 符号を連続して書ける |
| 5~6週目 | 低速朗読+反訳 | 書いた内容を正確に読める |
| 7~9週目 | 目標速度の80~90% | 取りこぼしを減らす |
| 10~11週目 | 本番速度 | 5分間集中して記録 |
| 12週目 | 公式問題+反訳 | 許容失点以内を安定させる |
不合格になりやすい原因
| 失敗 | 原因 | 改善 |
|---|---|---|
| 速度ばかり上げる | 読めない符号が増え、反訳できない | 正確度を維持できる速度で練習する |
| 速記したまま反訳しない | 自分の符号を読む力が育たない | 練習ごとに必ず反訳する |
| 1字落としたところで止まる | その後の文章まで大量に失う | 聞き逃してもすぐ次の語へ移る |
| 本番速度だけ練習する | フォームが崩れて誤読が増える | 低速・中速・本番速度を使い分ける |
| 反訳文を急いで汚く書く | 判読不明字も失点になる | 残り時間を確保して丁寧に書く |
取得するメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 聞き取り能力の向上 | 話の流れを追いながら重要な内容を記録する訓練になる |
| 記録技能の証明 | 速記・反訳能力を級として客観的に示せる |
| 議事録作成への応用 | 会議・取材・講演記録などの下地になる |
| 集中力の訓練 | 音声を追い続けるため高い集中力が求められる |
| 専門技能として深められる | 1・2級では専門級として高度な記録能力を目指せる |
活かせる仕事
| 仕事・業務 | 活かせる場面 |
|---|---|
| 議事録作成 | 会議・委員会などの発言記録 |
| 取材・記者業務 | インタビュー、会見、講演の記録 |
| 事務・秘書 | 口述、会議メモ、電話内容の記録 |
| 文字起こし | 音声から正確な文章を作成する際の基礎技能 |
| 議会・会議記録関連 | 高度な速記・反訳技能が必要な専門記録業務 |
現在は録音・音声認識技術も普及しているため、「速記資格を取れば必ず専門職に就ける」とは言えません。一方で、音声認識結果の確認、話者の意図を踏まえた記録、誤変換修正など、人が正確に記録する能力は依然として重要です。
どの級から受けるべき?
| タイプ | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 速記を初めて学ぶ | 6級 | 分速80字で基礎を確認できる |
| 基本符号を一通り学んだ | 5級 | 実際に速記符号を使う速度へ進める |
| 実務的な記録力を目指す | 4級・3級 | 事務級として口述・電話などへの活用を想定 |
| 専門速記を目指す | 2級・1級 | 会議・講演の専門的な記録能力を評価 |
関連資格との比較
| 資格・技能 | 中心となる能力 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 速記技能検定 | 音声を高速記録し正確に反訳 | 速記・議事記録を専門的に学びたい人 |
| ビジネス文書検定 | 文書表現、書式、文章実務 | 仕事で使う文書作成力を伸ばしたい人 |
| 日本語検定 | 敬語、語彙、文法、表記 | 日本語力全般を高めたい人 |
| タイピング系技能 | キーボード入力速度 | PC入力速度を高めたい人 |
2026年度の制度・実施上の注意
2026年時点でも速記技能検定は継続して実施されています。公式サイトでは2026年2月の第232回、5月の第233回、8月の第234回の検定問題も公開されています。
近年の大きな変化として、パソコン等による受検に加え、3~6級でIBT型のオンライン検定が実施されています。第232回からはIBT方式に限りタブレットも利用可能になりました。
受検方式・会場は回によって違う
すべての級が毎回IBTで受けられるわけではありません。1・2級は会場型が中心で、2月のIBT検定は3~6級のみです。申込時には対象級と方式を確認してください。
よくある質問
速記技能検定は現在も実施されていますか?
はい。2026年10月4日時点でも継続中です。次回第235回は2026年11月29日に予定されています。
受検資格はありますか?
特別な年齢・学歴・実務経験などの受検資格はありません。
6級から順番に受ける必要がありますか?
ありません。自分の技能に合った級を受検できます。
速記符号がきれいかどうかも採点されますか?
速記符号自体の見た目を評価する試験ではありません。最終的に正しく反訳できるかが重要です。
普通の文字だけで6級を受けられますか?
6級の分速80字は、公式案内でも「頑張れば速記符号を使わなくても普通の仮名文字で書き取れる速さ」と説明されています。ただし、上位級では速記技能が必要になります。
パソコンで受検できますか?
可能です。公式ルールに従ってパソコンなどを使用できます。ただし、対象方式や準備条件は受検回ごとに確認してください。
オンライン受検はできますか?
3~6級について、2月の検定でIBT型オンライン方式が実施されています。
1級と2級の違いは何ですか?
1級は分速320字、2級は分速280字で、ともに10分間の朗読を記録します。1級は会議・講演等を単独で速記できる専門レベル、2級はその補佐ができるレベルとされています。
独学できますか?
可能ですが、速記は技能なので継続練習が不可欠です。公式サイトでは過去の検定問題や朗読音声も公開されています。
資格に有効期限はありますか?
合格後に定期更新を求める制度は公式案内では示されていません。
速記技能検定のまとめ
速記技能検定は、音声を速記し、その記録を正確な日本語文章へ反訳する技能を評価する検定です。6級の分速80字から、1級の分速320字・10分間まで段階的に設定され、上位級ほど速度だけでなく高い正確度が求められます。2026年時点でも検定は継続中で、次回第235回は11月29日実施予定です。速記は暗記型ではなく反復練習型の技能なので、速度を急激に上げるより、正確な速記と反訳を繰り返すことが合格への基本になります。
情報確認:2026年10月4日
主な確認先:公益社団法人 日本速記協会「速記技能検定」「検定案内」「各級のレベル」「技能検定問題」「IBT型検定受検までの流れ」「事業報告」。
