ITパスポート試験

ITパスポート試験(iパス)は、ITを利用するすべての社会人・学生を対象に、IT・経営・情報セキュリティ・プロジェクト管理・データ活用などの基礎知識を幅広く問う国家試験です。ITエンジニア専用の資格ではなく、営業、企画、事務、総務、人事、経理、管理職、学生など、ITを使って仕事をする人全般が対象です。

ITパスポート試験を30秒で確認

  • 国家試験「情報処理技術者試験」の一区分
  • CBT方式・120分・100問・四肢択一
  • 総合評価600点以上/1,000点に加え、3分野すべてで300点以上が必要
  • 受験資格に学歴・年齢・実務経験の制限なし
  • 令和7年度(2025年度)の合格率は48.6%
  • 2026年の現行シラバスはVer.6.5
  • 2027年度から新試験制度へ移行予定
資格名 ITパスポート試験(IP)
資格種別 国家試験
実施団体 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
対象 ITを利用する社会人・学生全般
試験方式 CBT方式
試験時間 120分
出題数 100問・四肢択一
受験資格 制限なし
受験手数料 7,500円
現行シラバス Ver.6.5(2026年1月8日掲載)
次に検討しやすい資格 基本情報技術者試験/情報セキュリティマネジメント試験

ITパスポート試験とは

ITパスポートは、「ITの専門家になるための資格」というより、デジタル社会で働く人が共通して知っておきたい基礎知識を確認する試験です。IPAが示す対象者像も、ITに携わる業務に就く人だけではなく、担当業務でITを活用しようとする職業人全般です。

出題範囲には、コンピュータやネットワークだけでなく、企業活動、会計、法務、経営戦略、システム開発、プロジェクト管理、情報セキュリティ、AI、ビッグデータ、IoT、アジャイルなどが含まれます。そのため、IT職以外でも「会社でITを使ううえで必要な共通語彙」を体系的に学べます。

IT職以外の受験者も多い

令和7年度の社会人応募者では、IT系企業40,715人に対し、非IT系企業は179,995人でした。金融・保険・不動産、製造、サービス、建設、医療・福祉など幅広い業界で利用されています。

ITパスポートで学ぶこと

分野 主な内容 仕事との関係
ストラテジ系 企業活動、会計、法務、経営戦略、システム戦略 会社・業務・数字・契約・DXの理解
マネジメント系 開発技術、プロジェクト管理、サービス管理 システム導入やIT部門との連携
テクノロジ系 基礎理論、コンピュータ、DB、ネットワーク、セキュリティ ITサービスを安全に使うための基礎

ITパスポート試験の試験概要

項目 内容
試験時間 120分
問題数 100問
出題形式 多肢選択式(四肢択一)
ストラテジ系 企業活動・法務・経営戦略・システム戦略など
マネジメント系 開発技術・プロジェクト管理・サービス管理など
テクノロジ系 基礎理論・コンピュータ・ネットワーク・データベース・情報セキュリティなど
受験方式 CBT方式。申込時に試験会場・日時を選択
受験資格 なし

合格基準は「総合点だけ」ではない

ITパスポートは、総合評価点が600点以上/1,000点であることに加えて、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の各分野で300点以上/1,000点を取る必要があります。

そのため、「テクノロジだけ得意だから経営や法務は捨てる」といった極端な勉強法は不向きです。3分野すべてで基準を超えたうえで、得意分野で総合点を伸ばす考え方が安全です。

2026年末以降の試験休止予定に注意

IPAはシステムリプレースに伴い、2026年12月28日以降のITパスポート試験を一時休止する予定としています。試験会場によってはそれより前に開催を終了する場合があります。2027年初頭の受験を考えている場合は、申込前に再開時期を確認してください。

ITパスポートの出題範囲

ITパスポートの特徴は、1つの専門分野を深く問うのではなく、仕事で必要な知識を横断的に出題することです。2026年時点の現行シラバスはVer.6.5です。

ストラテジ系

テーマ 具体例 つまずきやすい点
企業活動 経営組織、業務分析、会計、財務 損益分岐点や財務指標
法務 知的財産、個人情報、労働、契約 似た法律・権利の区別
経営戦略 SWOT、PPM、マーケティング、競争戦略 フレームワークの使い分け
システム戦略 DX、業務改善、システム企画 経営課題とIT施策の関係

マネジメント系

テーマ 具体例 つまずきやすい点
開発技術 要件定義、設計、テスト、アジャイル 工程と成果物の対応
プロジェクト管理 進捗、品質、コスト、リスク 管理対象の違い
サービス管理 ITサービス、SLA、インシデント管理 似た運用用語の区別

テクノロジ系

テーマ 具体例 重要度
基礎理論 2進数、論理演算、確率、アルゴリズム 苦手が出やすい
コンピュータ CPU、メモリ、OS、仮想化 基礎
ネットワーク IP、DNS、LAN、無線LAN、通信 頻出
データベース 表、主キー、正規化、SQLの概念 頻出
情報セキュリティ 認証、暗号、攻撃、マルウェア、管理策 重要

ITパスポートの難易度・合格率

ITパスポートは情報処理技術者試験の入口に位置する試験ですが、「簡単だから勉強しなくても受かる」という試験ではありません。IT以外にも経営・法務・会計などが含まれるため、経験のない分野では用語を一から覚える必要があります。

直近5年間の受験者数・合格者数

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度 211,145人 111,241人 52.7%
令和4年度 231,526人 119,495人 51.6%
令和5年度 265,040人 133,292人 50.3%
令和6年度 273,905人 134,617人 49.1%
令和7年度 271,352人 132,012人 48.6%

令和7年度の年間応募者数は307,266人で、2年連続30万人を超えました。合格率は48.6%です。受験者の約半数が合格している一方、無対策で確実に通る水準ではありません。

合格率が約50%でも油断しない

IT経験者はテクノロジ系で有利ですが、経営・会計・法務で失点しやすいことがあります。逆に非IT職はストラテジ系で有利でも、ネットワークやセキュリティで苦戦する場合があります。自分の経験分野によって難しさが変わる試験です。

ITパスポートの勉強時間と勉強方法

IPAは必要学習時間を公式には定めていません。以下は受験者の前提知識を考慮した当サイトの学習目安です。

受験者タイプ 学習時間の目安 重点分野
IT・ビジネスとも初心者 100〜180時間 全範囲を基礎から
非IT職の社会人 70〜120時間 テクノロジ系
IT業務経験者 30〜70時間 経営・法務・会計
情報系学生 30〜60時間 ストラテジ・マネジメント

8週間で合格を目指す学習プラン

期間 学習内容 到達目標
1〜2週目 ストラテジ系・企業活動・法務・経営戦略 基本用語を説明できる
3週目 マネジメント系 開発工程と管理用語を区別できる
4〜5週目 テクノロジ系 ネットワーク・DB・セキュリティを重点補強
6週目 分野別問題演習 各分野60〜70%程度を安定
7週目 公開問題・模擬問題 時間内に100問を処理
8週目 弱点復習 3分野すべてで基準を超える状態にする

効率のよい勉強順

  1. 現行シラバス対応のテキストを1冊決める
  2. 1周目は細部を暗記せず全体像をつかむ
  3. 各章を読んだ直後に問題を解く
  4. 間違えた問題だけ理由を確認する
  5. ストラテジ・マネジメント・テクノロジの正答率を別々に記録する
  6. 本番前は100問形式で時間配分を確認する

古い教材だけに頼らない

2026年の現行シラバスはVer.6.5です。Ver.6.5では法令関係の更新もあります。AI、データ活用、法令など変化しやすい分野は、古い教材だけで対策しない方が安全です。

苦手になりやすいテーマ

テーマ 苦戦しやすい理由 対策
2進数・論理演算 普段使わない計算 代表問題を手計算で反復
損益分岐点 公式だけ覚えると応用できない 売上・固定費・変動費の関係を図で理解
ネットワーク 似た略語が多い 役割ごとに整理
セキュリティ 攻撃・対策の組み合わせが多い 「攻撃→被害→対策」で覚える
法務 法律名と対象の混同 権利・義務・対象者で比較

ITパスポートを取得するメリット・活かせる仕事

ITパスポートだけで特定職種への採用や年収アップが保証されるわけではありません。一方で、IT・経営・セキュリティを横断して学ぶため、会社の中でITを安全かつ適切に使うための基礎教育として利用しやすい資格です。

職種・立場 活かしやすい知識
営業 ITサービス、セキュリティ、顧客データ管理
事務・総務 情報管理、個人情報、Office・システム利用
企画 DX、データ活用、経営戦略、システム企画
人事 個人情報、情報セキュリティ、業務システム
管理職 IT投資、リスク、プロジェクト、セキュリティ
学生 就職前のIT基礎・ビジネス基礎

ITエンジニア志望なら「入口」と考える

ITエンジニアを目指す場合、ITパスポートを最終目標にするより、基本情報技術者試験へ進むのがおすすめです。ITパスポートで全体像を理解したあと、アルゴリズムやプログラミング、システム開発を深める流れが自然です。

ITパスポートはどんな人に向いている?

タイプ おすすめ度 理由
IT資格が初めて 高い IT全体を広く学べる
非IT職の社会人 高い 業務で必要なIT・経営知識をまとめて学べる
学生 高い 就職前にビジネスとITの基礎を整理できる
未経験からIT転職 中 入口にはよいが、FEなど次の資格も検討したい
現役エンジニア 低〜中 基礎確認にはなるが、より上位資格の方が適する場合が多い

関連資格との比較

資格 主な対象 特徴 次の進路
ITパスポート 社会人・学生全般 IT・経営を広く学ぶ FE/SG
情報セキュリティマネジメント 情報管理担当 セキュリティ管理を深掘り SC
基本情報技術者 ITエンジニア志望 技術・アルゴリズムを深掘り AP
MOS Office利用者 Word・Excel等の操作技能 Expert/VBA

迷ったときの選び方

「IT全体を広く学びたい」ならITパスポート、「エンジニアになりたい」なら基本情報技術者、「セキュリティ管理を学びたい」なら情報セキュリティマネジメント、「Office操作を証明したい」ならMOSという分け方が分かりやすいです。

2026〜2027年度の変更点

2026〜2027年は情報処理技術者試験全体の制度変更期です。ITパスポートを受験する人は、古い記事や教材だけでなく、最新のIPA情報も確認してください。

時期 変更・注意点
2026年1月 現行シラバスVer.6.5を掲載
2026年12月28日以降 CBT試験を一時休止予定
2027年度 新試験制度へ移行予定
2027年度新制度 デジタルリテラシーとしての基礎知識に加え、マインド・スタンスを評価する方向へ見直し
新制度でも 試験時間120分・出題数100問の予定

2027年度受験者は新シラバスを確認

IPAは2027年度からの新試験制度に向け、ITパスポートのシラバス案とサンプル問題を公開しています。2026年度用教材をそのまま2027年度対策に使う場合は、新旧の差分確認が必要です。

ITパスポートのよくある質問

IT未経験でも合格できますか?

受験資格に実務経験・年齢・学歴の制限はありません。IT初心者でも受験できます。ただし、専門用語が多いため、初学者は100時間前後以上の学習を見込んでおくと余裕があります。

数学が苦手でも大丈夫ですか?

高度な数学は必要ありませんが、2進数、論理演算、確率、損益分岐点などの基礎計算は出題されます。代表パターンを繰り返せば対応できる範囲です。

過去問だけで合格できますか?

問題演習は非常に重要ですが、シラバス更新で新しい用語が追加されるため、過去問の丸暗記だけでは不足する可能性があります。現行シラバス対応テキストと組み合わせる方が安全です。

独学で合格できますか?

独学で十分狙えます。ITパスポートは教材・問題集・公開問題が豊富で、受験資格もありません。学習習慣を作るのが苦手な場合は動画講座などを利用する選択肢もあります。

履歴書に書けますか?

国家試験なので資格欄に記載できます。ただし、資格名だけでなく「IT・セキュリティ・経営の基礎を学んだ」ことを業務や志望動機と結び付けて説明すると伝わりやすくなります。

ITパスポートと基本情報技術者はどちらが上ですか?

技術者向けの専門性では基本情報技術者の方が上です。ITパスポートは社会人全般向け、基本情報技術者はITエンジニア向けという対象者の違いがあります。

情報セキュリティマネジメントとの違いは?

ITパスポートはIT全般を広く学ぶ試験です。情報セキュリティマネジメントは、情報資産管理、リスク管理、インシデント対応などセキュリティ管理をより深く扱います。

2027年から資格がなくなるのですか?

なくなる予定ではありません。2027年度から内容を見直した新制度へ移行する予定です。

ITパスポート試験のまとめ

ITパスポートは、IT・経営・セキュリティを広く学べる国家試験です。特に、IT資格が初めての人、非IT職でITリテラシーを高めたい人、学生に向いています。一方、エンジニア志望なら取得後に基本情報技術者へ進むことで、学習をより実務的な技術分野へつなげられます。

情報確認:2026年10月
主な確認先:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「ITパスポート試験」「試験要綱・シラバス」「令和7年度 iパス年間応募者数等」「2026年5月以降のCBT試験実施について」「新試験制度のシラバス案について」。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)