英語のスピーキング、リスニング、リーディング、ライティングの4技能を評価する国際的な英語能力試験です。主に英語圏の大学・教育機関、企業、移民局などで英語力の証明として利用されます。
受験資格と難易度
受験資格
IELTSには年齢制限や受験資格の制約はなく、誰でも受験可能です。
ただし、以下の点に注意してください。
-
年齢制限なし(ただし16歳以上が推奨)
- IELTSには正式な年齢制限はありませんが、試験内容が大学・ビジネスレベルの英語を含むため、16歳以上の受験が推奨されています。
- 16歳未満の受験も可能ですが、十分な英語力が必要です。
-
何度でも受験可能
- 受験回数に制限はなく、何回でも受けられる(ただし、試験費用がかかるため計画的に受験するのが望ましい)。
-
身分証明書が必要
- 日本で受験する場合はパスポートが必須(試験当日に持参する必要あり)。
- 申し込み時にパスポート番号を登録するため、事前に準備が必要。
IELTSの難易度
IELTSは英語圏の大学進学や移住に必要な英語力を測る試験なので、一定の難易度があると言えます。
ただし、目的によって求められるスコアが異なるため、どのレベルを目指すかによって難易度が変わるのがポイントです。
IELTSのスコア目安と難易度
バンドスコア | 難易度 | 英語力の目安 | 目標とする用途 |
---|---|---|---|
9.0 | 超難関 | ネイティブ並みの流暢さ | 研究者・高度な専門職 |
8.0~8.5 | 難関 | ほぼネイティブレベル | 一流大学(オックスフォード、ケンブリッジなど) |
7.0~7.5 | 高め | 高度な英語力 | 海外大学・大学院、ビジネス英語 |
6.0~6.5 | 中級 | 日常会話・ビジネスレベル | 多くの大学・移住申請(カナダ・オーストラリアなど) |
5.0~5.5 | やや易 | 基本的な英語力 | 一部の専門学校・一般的な職場環境 |
4.0~4.5 | 初級 | 簡単な会話が可能 | 英語初心者向け |
3.0以下 | 初学者 | 基礎的な単語とフレーズのみ | さらなる学習が必要 |
試験内容
試験は「アカデミック(Academic)」と「ジェネラル・トレーニング(General Training)」の2種類がありますが、リスニングとスピーキングは共通で、リーディングとライティングの内容が異なります。
試験概要
セクション | 試験時間 | 問題数 | 内容 |
---|---|---|---|
リスニング(Listening) | 約30分(+10分の転記時間) | 40問 | 4つのセクションで様々な会話や講義を聞き取る |
リーディング(Reading) | 60分 | 40問 | 3つの長文を読んで問題を解く(AcademicとGeneralで異なる) |
ライティング(Writing) | 60分 | 2問 | Task 1(150語)+ Task 2(250語)を書く(AcademicとGeneralで異なる) |
スピーキング(Speaking) | 11~14分 | 3パート | 試験官との対面式インタビュー |
リスニング(Listening)
試験内容
- 試験時間:約30分(+10分の解答転記時間)
- 問題数:40問(4つのセクション)
- 録音は1回のみ再生される
セクション構成
セクション | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
セクション1 | 日常会話(例:ホテルの予約、電話での問い合わせ) | 比較的簡単 |
セクション2 | モノローグ(例:観光地の案内、イベントの説明) | リスニング力が求められる |
セクション3 | 学術的な会話(例:大学の授業のディスカッション) | 専門的な語彙が増える |
セクション4 | 講義形式(例:教授の講義) | 長文リスニング、メモを取る力が必要 |
問題の種類
- 記述式(単語・数字を書き込む)
- 選択問題(A/B/Cの選択肢)
- マッチング問題(話の流れを正しく並べる)
リーディング(Reading)
試験時間:60分(問題40問)
リーディングの問題は**Academic(学術)とGeneral Training(日常的な文章)**で異なります。
アカデミック(Academic)の内容
大学・専門分野向けの内容
- 3つの長文(科学、歴史、社会問題など)
- 難易度が高いが、論理的な読み方を身につければ得点しやすい
ジェネラル・トレーニング(General Training)の内容
日常的な文書を読む力を測定
- 広告、手紙、新聞記事など身近な文書
- Academicより平易な文章
問題の種類
- True/False/Not Given(正しい・間違い・記述なし)
- 選択問題
- 穴埋め(記述式)
- 見出しのマッチング(パラグラフごとにタイトルを選ぶ)
ライティング(Writing)
試験時間:60分(2つの課題)
AcademicとGeneral Trainingで内容が異なります。
アカデミック(Academic)の内容
タスク | 内容 | 文字数 |
---|---|---|
Task 1 | 図・グラフ・表・プロセスの説明 | 150語以上 |
Task 2 | 論理的なエッセイ(意見や議論) | 250語以上 |
ジェネラル・トレーニング(General Training)の内容
タスク | 内容 | 文字数 |
---|---|---|
Task 1 | 手紙(フォーマル・インフォーマル)を書く | 150語以上 |
Task 2 | 社会的な話題についてのエッセイ | 250語以上 |
スピーキング(Speaking)
試験時間:11~14分(対面式)
スピーキングは3つのパートに分かれています。
パートごとの構成
パート | 内容 | 試験時間 |
---|---|---|
Part 1 | 自己紹介(名前、仕事、趣味、家族など) | 4~5分 |
Part 2 | スピーチ(1分間準備→2分間話す) | 3~4分 |
Part 3 | ディスカッション(Part 2の話題に関連した質問) | 4~5分 |
試験対策
リスニング(Listening)対策
ディクテーション(書き取り)を行う
→ BBC、TED Talks、IELTS公式サンプル問題を使ってリスニング力を鍛える
シャドーイングを練習する
→ スクリプトを見ながら聞いた音を即座に口に出すことで、聞き取り能力を向上
問題を先に読んで予測する
→ どのような単語が来るかを事前に推測し、集中力を高める
数字や日付の聞き取りを強化する
→ 「fifteen」と「fifty」など、聞き間違いやすい単語に注意
リーディング(Reading)対策
スキミング(全体を素早く読む)とスキャニング(特定の情報を探す)を鍛える
→ すべて読まずに、重要な部分を素早く見つける訓練をする
単語力を強化する
→ IELTSで頻出するアカデミックワードリスト(AWL)を覚える
過去問を使って時間配分の練習をする
→ 1問1~1.5分以内で解く練習をする
True/False/Not Givenの問題に注意する
→ 「書いてあるかどうか」だけを判断し、自分の推測を入れない
ライティング(Writing)対策
テンプレートを活用する
→ 例えば、エッセイの構成を以下のように統一する
1. 導入(意見を簡潔に述べる)
2. 理由1+具体例
3. 理由2+具体例
4. 結論(全体の要約+意見の強調)
表現の幅を広げる
→ 「便利です」→「It is useful」ではなく「It plays a crucial role」など、よりアカデミックな表現を意識する
文法のミスを減らす
→ よくあるミス(時制・冠詞・前置詞の使い方)を重点的にチェック
毎日1つのトピックについて書く
→ 書いた文章をネイティブやIELTS対策講師に添削してもらう
スピーキング(Speaking)対策
日常的に英語で話す習慣をつける
→ 言いたいことがすぐに出てくるように練習
質問のパターンを覚える
→ 「What are the advantages and disadvantages of 〇〇?」など、よく出る形式を練習
論理的な構成で話す練習をする
→ PREP法(Point → Reason → Example → Point)を使う
音読+録音して確認する
→ 自分の発音やスピードをチェックし、改善点を見つける
全体的な勉強法
毎日英語に触れる(リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能をバランスよく練習)
IELTSの公式問題集(Cambridge IELTSシリーズ)を活用する
模試を定期的に受けて、時間配分の感覚をつかむ
英語日記を書いてライティング力を鍛える
取得後に出来ること
海外留学
IELTSは、英語圏の大学・専門学校の入学要件として広く認められているため、海外留学を考えている人にとって必須の資格です。
IELTSスコアの目安(大学・大学院)
バンドスコア | 進学可能な機関・レベル |
---|---|
6.0~6.5 | 一般的な大学の学部課程(アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダなど) |
7.0~7.5 | 一流大学(オックスフォード、ケンブリッジ、ハーバードなど) |
5.5~6.0 | 一部の専門学校や短期大学 |
IELTSスコアが使える国・大学
- 🇬🇧 イギリス(オックスフォード、ケンブリッジ、UCLなど)
- 🇦🇺 オーストラリア(シドニー大学、メルボルン大学など)
- 🇨🇦 カナダ(トロント大学、ブリティッシュコロンビア大学など)
- 🇺🇸 アメリカ(ハーバード、MIT、スタンフォードなど TOEFLが主流だがIELTSも認める大学多数)
IELTSがTOEFLより有利な場合もある
- TOEFLよりもイギリス・オーストラリア・カナダの大学ではIELTSの方が受け入れられやすい
- 一部のアメリカの大学では、IELTSの方が必要スコアが低めに設定されている場合もある
海外移住・永住権取得
IELTSは、英語圏の移民局が公式に認める英語試験です。特にオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリスの移住ビザ申請に必要です。
各国の移住申請に必要なスコア目安
国 | 最低スコア(目安) | 備考 |
---|---|---|
🇨🇦 カナダ | 5.0~6.5 | Express Entry(永住権)にはIELTS Generalが必要 |
🇦🇺 オーストラリア | 4.5~7.0 | 技能移民ビザ・パートナービザなどで必要 |
🇳🇿 ニュージーランド | 6.5~7.0 | 技能移民(Skilled Migrant Category)には7.0以上が推奨 |
🇬🇧 イギリス | 4.0~7.5 | ビザの種類による(Tier 2 Work Visa、配偶者ビザなど) |
- IELTS General Trainingが必要(AcademicではなくGeneralが求められる)
- 国によって必要スコアが異なるため、申請前に要確認!
外資系・グローバル企業への就職・転職
IELTSスコアは、英語を使う仕事に応募する際の英語力証明として使えます。特に外資系企業や海外勤務のチャンスを狙う人には有利!
求められるIELTSスコアの目安(職種別)
職種・業界 | 必要なスコア(目安) | 備考 |
---|---|---|
外資系企業(一般職) | 5.5~6.5 | 基本的な英会話ができるレベル |
グローバルビジネス(営業・マーケティングなど) | 6.5~7.5 | 会議やプレゼンで英語を使える |
国際機関・政府機関(国連・WHO・NGOなど) | 7.0~8.5 | 高度な英語力が必要 |
英語教師(ESL、英会話スクール) | 7.0以上 | 非ネイティブ講師向け資格の要件になることも |
IELTSが活用できる職種
- グローバル企業(Google、Amazon、Microsoftなど)
- 航空業界(CA・グランドスタッフ)
- 貿易・商社
- ホテル・観光業
- 国際機関(国連、WHO、JICA など)
- 海外支社への転勤・駐在
TOEICと比較すると、IELTSは「話す・書く」能力を評価されるため、ビジネス英語の実践力をアピールしやすい!
日本国内でのキャリアアップ
日本国内でもIELTSスコアを活かせる場面が増えている!
大学の英語試験として活用
- 東京大学、京都大学、一橋大学など、一部の大学ではIELTSを英語試験として認定
- 大学院入試でもIELTSスコアを要求されることがある
社内昇進・海外赴任の条件になることも
- 一部の企業では海外赴任・海外研修の選考基準としてIELTSスコアを要求
- 商社やグローバル企業では、TOEICに加え、IELTSのスピーキング力を評価する傾向
英語講師や留学カウンセラーとして活躍
- IELTS指導ができる英語教師・塾講師の需要が増加
- 留学エージェントや英語スクールでのキャリアに役立つ
海外でのワーキングホリデー・ボランティア
IELTSスコアがあると、海外でのワーキングホリデー(ワーホリ)やボランティア活動の機会が広がる!
IELTSが有利なプログラム
- 🇦🇺 オーストラリアのワーホリビザ(特定の職種では英語力証明が求められる)
- 🇨🇦 カナダのワーホリ(雇用のチャンスを広げるためにIELTSが役立つ)
- 🇺🇳 国連・NGOボランティア(国際機関での活動にIELTSスコアが必要な場合も)
IELTSスコアを持っていると、英語圏での仕事探しがスムーズに!
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実用イタリア語検定
スペイン語技能検定
DELE(スペイン文部省認定証)
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フランス語能力認定試験(TEF)
実用フランス語技能検定
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