日本国内で実施されている韓国語の検定試験の一つです。韓国語の知識や運用能力を測るための試験で、韓国語学習者が自分のレベルを確認するのに役立ちます。
主催団体は「特定非営利活動法人ハングル能力検定協会」で、1993年に始まりました。韓国政府が認定する公式な試験ではありませんが、日本国内では知名度が高く、多くの学習者が受験しています。
目次
受験資格と難易度
受験資格について
ハングル能力検定(ハン検)は、誰でも受験可能です。
年齢・国籍・学歴などの制限は一切ありません。
- 初心者から上級者まで受験可能
- 1級から5級まで自由に選べる(飛び級もOK)
- 一度に複数の級を受験することも可能
難易度について(級ごとの目安)
5級(入門レベル)
難易度:★☆☆☆☆(初心者向け)
目安:韓国語の基礎を学び始めたレベル
試験範囲:ハングルの読み書き、基本単語・文法(約300語)
できること:自己紹介、簡単な挨拶や単語の理解
4級(初級レベル)
難易度:★★☆☆☆(やや簡単)
目安:韓国語の基本を学び、簡単な会話ができる
試験範囲:基本文法、簡単な文章の読解(約600語)
できること:日常の簡単な会話ができる
3級(中級レベル)
難易度:★★★☆☆(普通)
目安:韓国語での日常会話がある程度できる
試験範囲:複雑な文法、会話、文章読解(約1,500語)
できること:簡単な文章を読んで理解できる、日常会話がスムーズにできる
準2級(中上級レベル)
難易度:★★★★☆(やや難しい)
目安:ビジネスシーンで簡単な会話ができるレベル
試験範囲:韓国のニュース、長文読解、やや難しい文法(約2,500語)
できること:新聞やニュースの内容をある程度理解できる
2級(上級レベル)
難易度:★★★★★(難しい)
目安:韓国語をビジネスや専門的な場面で活用できる
試験範囲:韓国語の複雑な構文、専門用語、ニュース・ビジネス文書(約5,000語)
できること:ネイティブと自然に会話できる、ビジネスメールが書ける
1級(最上級レベル)
難易度:★★★★★★(超難しい!)
目安:ネイティブ並みの韓国語能力が必要
試験範囲:専門的な文章、新聞・論説、韓国の文化・歴史など
できること:韓国のニュースを完璧に理解し、討論やスピーチができる
各級の合格率
級が上がるほど難易度も上がり、合格率は低くなります。
級 | 合格率(目安) |
---|---|
5級 | 約80% |
4級 | 約70% |
3級 | 約60% |
準2級 | 約50% |
2級 | 約30% |
1級 | 約10~15% |
1級・2級になると難易度が高く、合格するにはかなりの学習時間と練習が必要です。
試験内容
基本的には筆記試験(語彙・文法・読解)と聞き取り試験の2つで構成されています。1級のみ面接試験(口頭試験)もあります。
試験の構成
級 | 試験時間 | 出題形式 |
---|---|---|
1級 | 筆記:80分 / 聞き取り:30分 / 面接:約10分 | 筆記(記述式・選択式)、聞き取り、面接 |
2級 | 筆記:80分 / 聞き取り:30分 | 筆記(記述式・選択式)、聞き取り |
準2級 | 筆記:70分 / 聞き取り:25分 | 筆記(選択式・一部記述)、聞き取り |
3級 | 筆記:60分 / 聞き取り:25分 | 筆記(選択式)、聞き取り |
4級 | 筆記:50分 / 聞き取り:20分 | 筆記(選択式)、聞き取り |
5級 | 筆記:40分 / 聞き取り:15分 | 筆記(選択式)、聞き取り |
1級のみ、筆記試験と聞き取り試験に加えて面接試験が行われます。
試験内容の詳細
(1) 筆記試験(語彙・文法・読解)
筆記試験は、語彙・文法・読解・作文などの問題が出題されます。
[語彙・文法]
- 5級・4級:基本的な単語・簡単な文法の問題
- 3級~準2級:長めの文章や応用的な文法問題
- 2級・1級:専門的な語彙や複雑な文法の問題
[読解問題]
- 4級・5級:短い文章の内容を問う問題
- 3級・準2級:ある程度長い文章を読んで答える問題
- 2級・1級:新聞やエッセイのような難しい文章の読解
(2) 聞き取り試験
試験の級が上がるごとに、話すスピードが速くなり、内容も難しくなります。
- 5級・4級:基本的なフレーズを聞いて答える
- 3級・準2級:短い会話や説明を聞いて答える
- 2級・1級:ニュースや長めの会話を聞いて答える
(3) 面接試験(1級のみ)
1級では、筆記試験と聞き取り試験に加えて、韓国語での**面接試験(口頭試験)**があります。試験官と直接会話をし、スピーキング能力が評価されます。
面接の流れ
- 自己紹介(試験官から簡単な質問)
- テーマに基づいたスピーチ(社会問題・韓国文化など)
- 質疑応答(試験官が質問し、それに答える)
合格基準
試験の合格基準は、全体の得点が合格ラインを超えることです。
級 | 合格基準 |
---|---|
1級 | 80%以上 |
2級 | 70%以上 |
準2級 | 60%以上 |
3級 | 60%以上 |
4級 | 60%以上 |
5級 | 60%以上 |
1級は難易度が高いため、80%以上の得点が必要になります。
試験対策
基本的な勉強法
(1) 単語・語彙の対策
ハングル能力検定では、級ごとに必要な単語数の目安があります。
級 | 必要な語彙数(目安) |
---|---|
5級 | 約300語 |
4級 | 約600語 |
3級 | 約1,500語 |
準2級 | 約2,500語 |
2級 | 約5,000語 |
1級 | 約10,000語 |
対策方法
- 単語帳を活用(例:「韓国語単語帳」やアプリ「Quizlet」など)
- 毎日10~20個の単語を覚える(短期間でまとめて覚えるより、少しずつ継続する)
- 文章の中で単語を覚える(例文と一緒に学ぶと定着しやすい)
- TOPIK(韓国語能力試験)の単語リストも活用(準2級以上では共通する語彙が多い)
(2) 文法の対策
級ごとに習得すべき文法のレベルが異なります。
級 | 文法レベルの目安 |
---|---|
5級 | 基本的な語順・助詞・動詞の活用(~이다、~어요 など) |
4級 | もう少し長い文を作れるようになる(~(으)ㄹ 수 있다、~고 있다 など) |
3級 | 日常会話で必要な文法(~(으)ㄴ 적이 있다、~(으)ㄹ까 하다 など) |
準2級 | ニュースや新聞で使われる文法(~더라고요、~(으)ㄴ 바 있다 など) |
2級 | ビジネスレベルの文法(~(으)ㄴ 채로、~길래 など) |
1級 | 専門的な表現や慣用句(四字熟語や文学的表現) |
対策方法
- 文法書を活用(例:「韓国語文法ドリル」)
- 例文を作りながら学ぶ(文法だけでなく、文章の中で覚える)
- 韓国のニュースサイトを読む(準2級以上は実際の文章に触れることが大切)
- 過去問の文法問題を解く
(3) 読解の対策
ハングル能力検定では、長文を読んで内容を理解する問題が出題されます。
対策方法
- 短い文章から徐々に長い文章へ(4級以下は短文、3級以上は新聞記事などを活用)
- 文章の要点をつかむ練習(主語・述語・目的語に注意)
- わからない単語があっても、文脈で意味を推測する力をつける
- TOPIKの読解問題を活用(特に準2級以上は似た形式が多い)
(4) 聞き取り(リスニング)の対策
ハングル能力検定の聞き取り試験では、会話や短い文章を聞いて答える問題が出題されます。
対策方法
- 韓国語の音に慣れる(毎日韓国語を聞く習慣をつける)
- 韓国ドラマやYouTubeの活用(字幕付きで見て、内容を理解する)
- シャドーイング練習(聞こえた音をそのまま真似して発音する)
- リスニング問題を繰り返し解く(過去問を活用)
- スクリプトを見ながら聞く練習(正しい発音や語順を確認)
(5) 面接試験(1級のみ)の対策
1級の受験者は、筆記試験・聞き取り試験に加えて、**面接試験(口頭試験)**があります。
面接試験の流れ
- 自己紹介(簡単な質問に答える)
- 与えられたテーマについてスピーチ
- 試験官との質疑応答
対策方法
- 韓国語で日記を書く(話す内容を文章にしてみると効果的)
- 韓国語でスピーチの練習をする(テーマを決めて1~2分話してみる)
- 韓国人の友達やオンラインレッスンを活用して会話の練習
- 韓国のニュースを見て、自分の意見をまとめる
よく出るテーマ例
- 日本と韓国の文化の違い
- 環境問題について
- 最近読んだ本や見た映画の感想
過去問を活用した勉強法
ハングル能力検定では、過去問を解くことが非常に重要です。
過去問の活用法
- 試験の形式を把握する(どのような問題が出るかを知る)
- 時間を計って解く(本番と同じ時間で練習)
- 間違えた問題を分析する(なぜ間違えたのかを理解する)
- リスニング問題は繰り返し聞く(聞き取れるようになるまで練習)
公式サイトや市販の問題集を活用すると、効率的に学習できます。
取得後に出来ること
履歴書や就職活動でアピールできる
ハングル能力検定を取得すると、韓国語のスキルを客観的に証明できるため、履歴書に記載して就職活動でアピールできます。特に、韓国と関係のある企業では評価されることが多いです。
有利になる職種・業界
- 貿易・商社系(韓国との取引がある企業)
- 旅行・観光業(韓国人観光客対応、ガイド業務など)
- 航空業界(CA、空港スタッフなど)
- 外資系企業(韓国企業の日本支社など)
- 接客・販売業(免税店、韓国コスメショップなど)
- 通訳・翻訳業(韓国語のニュースや書籍の翻訳、通訳業務など)
特に2級以上を取得すると、韓国語を業務で活用できるレベルとして評価されることが多いです。
給料アップや資格手当がもらえる可能性がある
企業によっては、外国語資格を取得すると資格手当が支給される場合があります。
例えば、韓国語を必要とする業種(貿易・外資系・観光業など)では、「語学手当」として月5,000円~20,000円ほど支給されるケースもあるようです。特に、2級・1級を持っていると評価が高くなります。
韓国留学の準備がスムーズになる
韓国へ留学を考えている場合、ハングル能力検定を取得しておくと、語学力の目安として役立つだけでなく、現地での生活がスムーズになります。
ハン検取得のメリット(留学)
- 授業についていきやすい(基本的な文法や単語が身についている)
- 韓国人の友達と会話しやすい
- 韓国のニュースやドラマが理解しやすくなる
ただし、韓国の大学に正式に入学する場合は、「TOPIK(韓国語能力試験)」のスコアが必要になることが多いため、ハン検で基礎力をつけた後にTOPIKを受験するのがおすすめです。
日常生活や趣味で韓国語を活かせる
(1) K-POPや韓国ドラマを字幕なしで楽しめる
韓国語の基礎が身についていると、K-POPの歌詞や韓国ドラマのセリフが理解しやすくなります。準2級以上になると、簡単なドラマなら字幕なしでもある程度理解できるようになります。
- 5級・4級:基本的な単語やフレーズが分かる
- 3級:簡単なセリフを聞き取れる
- 準2級以上:字幕なしで大まかな内容が理解できる
(2) 韓国旅行がより楽しめる
韓国語が話せると、韓国旅行がもっと楽しくなります。特に3級以上を取得すると、現地の人と会話をしたり、ローカルなレストランで注文したりすることがスムーズになります。
- 買い物で値引き交渉ができる
- レストランでメニューが読める
- 現地の人と会話が楽しめる
通訳・翻訳の仕事ができるようになる
ハングル能力検定の1級・2級を取得すると、通訳・翻訳の仕事にチャレンジできるレベルになります。
活躍できる分野
- 観光ガイド(韓国人向けの観光案内)
- ビジネス通訳(会議・商談での通訳業務)
- 翻訳業(韓国語の書籍・映画・ニュース記事などの翻訳)
特に、1級は韓国語のニュースや専門的な文書を理解できるレベルなので、プロの通訳・翻訳者として働くチャンスもあります。
韓国語を教える仕事ができる
ハングル能力検定の1級・2級を取得すると、韓国語講師として働くことも可能です。
韓国語講師としての活躍の場
- 韓国語教室やオンラインレッスンの講師
- 個人レッスンで生徒を教える
- 学校や企業で韓国語研修を担当する
日本では韓国語の学習者が増えているため、韓国語を教える仕事の需要も高まっています。
韓国語を使った副業やSNS活動ができる
ハングル能力検定の資格を活かして、韓国語を使った副業をすることも可能です。
- YouTubeやブログで韓国語学習コンテンツを発信
- 韓国語の翻訳・通訳のフリーランス
- 韓国のニュースやエンタメ情報を発信するインフルエンサー活動
特に、韓国文化や言語に興味のある人が多いため、韓国語のスキルを活かして発信すると、多くの人に注目される可能性があります。
語学系資格一覧
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